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デンタルフロスと歯間ブラシが両方必要なワケ #4 糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい

日本人の8割がかかっている「歯周病」。実は糖尿病をはじめ、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、肺炎など、命にかかわる病気の原因になることをご存じでしょうか? 医師・西田亙先生の『糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい』は、歯周病と全身の病気の驚きの関係から、予防と改善に役立つお口ケアの方法まで、私たちが知らない健康の新常識を教えてくれる一冊。読んだらきっとすぐに歯を磨きたくなる、そんな本書の中身をご紹介します。

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40歳を過ぎたら「歯間清掃」は必須

歯ブラシだけで取れる汚れは歯全体の7割と言われています。残り3割を占める歯と歯の間にたまった汚れは、取り除きたくても歯ブラシでは届きません。

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ここは糸(デンタルフロス)、そして歯間ブラシを入れるしかありません。重要なポイントはデンタルフロスと歯間ブラシの両方が必要だということです。

まずはデンタルフロスについてです。フロスは歯の表面に付いた汚れを細い糸にからめて削ぎ落とすものとされていますが、私は毎日フロスをしているうちに、隠された効用がいくつかあることに気づきました。

(1)汚れ具合が目に見える

“汚れ具合が目に見える”という点は、当たり前のことではあるものの、とても大切なポイントです。なぜなら、同じ歯の間でも“汚れやすい場所と汚れにくい場所がある”からです。

一般的に汚れがたまりやすいのは奥歯のまわりですが、1人ひとりの歯並びによって違ってきます。フロスをかけるたびに確認することで、自分のお口の中で汚れやすい“ウィークポイント”を把握することができます。

そして、歯磨きや歯間清掃の際に、ウィークポイントに対してより時間をかけて丁寧に行うことで、お手入れの効果が高まるのです。

(2)悪玉菌かどうかを鼻で確認できる

次に、“臭い”です。

あまりお上品ではありませんが、フロスに汚れが付いたら、ぜひとも鼻を近づけてクンクンと臭いをかいでみてください。顔をそむけたくなるような悪臭がすれば、そこは悪玉歯周病菌の巣窟になっている可能性が高いでしょう。

逆に、お口のケアが進み清められていくと、次第に悪臭は消えていきます。口腔フローラが生まれ変わっていく様子は、高価な細菌検査に頼らずとも、自分の鼻で確認することができるのです。

(3)歯の表面の傷み具合を感触で察知できる

最後に、“歯の表面の傷み具合”です。

これも重要なポイントです。次でお話しするように、私たちの歯は、食べ物や歯磨き、歯ぎしりなどによって常に表面が傷つけられています。たとえてみれば、ツルツルの瀬戸物を目の粗いヤスリで絶えずゴシゴシ磨いているようなものです。

このときできた細かい傷は、ぱっと見ただけではわかりません。私たちの歯も同じことで、ミクロの傷は目には見えませんし、歯磨きや歯間ブラシの感触でもわかりません。しかし、フロスの繊細な糸であれば、歯の表面の様子がまさに“手に取るようにわかる”のです。

フロスをかけるとき、スムーズにゴシゴシできればOKです。もしも、ひっかかるような抵抗があれば、それは歯の表面に傷みが生じ、凸凹になっている証拠です。そんなときは後述で紹介する、ツルツル歯磨き剤で歯質の向上を図りましょう。

ちなみに、歯の表面の微細な変化を感じつつ清掃するためには、高性能のフロスが必要になります。私が愛用しているのは、特殊な加工が施された384本もの繊維が撚られているイタリア製の「フロアフロス」(オーラルケア社)です。

歯間ブラシでたまった汚れをかき出す

こんなに有能なフロスですが、歯間ブラシとの併用が欠かせません。私は以前フロスだけ使用していた時期があったのですが、ふとしたときに歯間ブラシを使ってみたら、出血でブラシが真っ赤になりました。自分では「歯ブラシとフロスで完璧だ!」と信じていたため、これはとてもショックな出来事でした。

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フロスを使うと歯の側面はきれいにできますが、歯と歯の間の底の歯ぐきは放置されてしまいます。そこに食べかすや歯糞がたまっていたため、出血したわけです。

歯間ブラシの必要性は、2つ並んだタンスの間を考えればわかります。フロスとは、言ってみれば。長いタオルでタンスの側面をふくようなもの。タンスの間の床にたまったゴミ玉はそのままです。タンスの間の床にたまった汚れをかき出すには、床面に密着するブラシが不可欠なのです。

歯間ブラシのサイズは、歯と歯の間それぞれの隙間に合った太さにしないといけません。歯間ブラシのサイズと自分の歯間のサイズが合わないと、汚れをうまくかき出すことができませんし、歯ぐきを傷つけてしまうこともあるからです。

素人には判断が難しいため、歯科衛生士さんに見てもらい、サイズを決めてもらうと良いでしょう。

フロスと同様、歯間ブラシも入れてかき出すことで、ブラシに付いた汚れが目に見えるのが良い点です。私はこのときも歯間ごとに汚れを確認しながらブラシします。

歯間に入れるごとにブラシを水ですすぎ、汚れが付かなくなるまでブラシを入れましょう。奥歯(臼歯)の間はとくに汚れがたまりやすいことや、脂っこい料理やケーキなどを食べたあとは汚れが増えることが、自分で理解できるようになります。

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糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい

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