いま目の前にいる人を大切にする。それが正しい「人脈」のつくり方
『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で脚光を浴びた、ブランドプロデューサーの柴田陽子さん。最新刊『勝者の思考回路』は、さまざまなプロジェクトを成功に導き、名だたる企業のトップから指名される彼女の「成功の秘密」に迫った、まさに「決定版」といえる内容です。迷えるビジネスパーソンの羅針盤になるであろう本書から、柴田さんの心に刺さるメッセージをお届けします。
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私の会社に「営業部」はない
シバジムには営業部はありません。「仕事ください」と営業活動をしないと成り立たないのであれば、やめようと思っています。
それでも、ずっと先まで仕事の依頼が詰まっています。それはなぜか? 私は、人と人とのつながりによるものだと思っています。
一度、仕事を共にしたクライアントが、「柴ちゃんに、ぜひ紹介したい人がいるんだ」と言って、新たなクライアントを連れてきてくれることもしょっちゅうです。
だから、私は人との出会いをとても大事に考えていて、どんな小さなことでも軽んじないようにしています。
といっても、「この人といれば仕事につながるかもしれない」という欲で動いているわけではありません。目の前にいる人を私なりに大切にしてきた結果、「今」がある。そうやってできた「今」が連綿と続いている。――という感じです。まさに、“人によって人生が作られてきた”のです。
「人脈づくり」は意味がない
よく、「いい人脈が欲しい」と、いろいろな会合に出席して知り合いを増やす努力をしている人がいますね。でも、私はそういうやり方には賛成しません。“いい人脈”というものは、どこからか与えられるはずがなく、あくまでその人が真摯に人と向き合ってきた結果でしかありません。
だから、わざわざ人が多い場所に足を延ばして知らない人と会う、といった努力をしたことが私にはありません。目の前にいる人、出会った人を大事にしてください。
あなたの仕事がどんなものであれ、いろいろな人との接触があるでしょう。上司や部下、同僚、取引先、顧客はもちろんのこと、いわゆる出入り業者の方もいることでしょう。
仕事以外の人間関係も同様です。私の場合なら、子どものママ友や、学生時代からの友人、ご近所さんもとても大事な存在です。
まずは、そういう人たちと誠実につきあっていきましょう。
目の前にいる人、必然的に出会った人と信頼関係を築けずにいて、どんどん新しい人と知り合ってみたところで、何が生まれるわけでもありません。それよりも、目の前にいる人、必然的に出会った人と真摯に誠実に関わっていくと、そこからさらにいい人間関係が広がっていきます。
私が独立してここまでくることができたのは、私一人の力によるものではありません。助けてくれたたくさんの人たちがいたからです。
私は勤め人だったときに「いずれ独立しよう」とは思っていませんでした。ですから、そのための人脈づくりなど考えたこともありません。ただ、目の前にある仕事を必死でやっていただけです。それを見ていた人たちが、独立を後押ししてくれ、その後の私を支えてくれたのです。