見出し画像

「○○君のお姉ちゃん」は私の名前?

年を取るに連れて、ライフステージを重ねるに連れて、「○○さんの奥さん」や「○○ちゃんママ」と呼ばれることが多くなる。ごく自然なことだ。きっときょうだいたちも「○○君のお姉ちゃん」なんて呼ばれる機会は小さい頃からあっただろう。弟の通所している作業所から電話が掛かってきた時なんか「○○の姉です。いつもお世話になっております」って自分から名乗っていた。

これにちょっと違和感を感じたのは夫の故郷であるカナダに移住してからのこと。誰も彼も私のことを「○○'s wife」と呼ぶのだ。私には私の名前があるのに。私と夫は別人なのに。まるで夫がいないと私が存在できないみたいだった。そんな依存嫌だった。透明人間みたいで苦しかった。

「○○のお姉ちゃん」と呼ばれること自体は構わない。弟に普段から主体的に関わってくれているからこそ出る自然な言葉だし、相手を責める必要もない。でも家族との関係に自分を位置付けることに慣れすぎない方が良い。「自分って誰だっけ?」と、たまに分からなくなる。自分がまず存在して、その弟が○○であることを時々思い出した方がいいのかもしれない。

普段主に関わっている方の家族を表す言葉を使うときは一呼吸置く。カナダに来てからの経験から慎重になるようになった。「あなたは○○さんの奥さん?」って聞きたい時は"Are you ○○'s wife?"ではなくて"Is ○○ your husband?"と聞くようにしている。きょうだいに出会った時も、できるだけ名前で呼ぶようにしていきたい。あなたはあなただから。


*この記事は12月12日の記事の続きです。




いいなと思ったら応援しよう!