運命の出会いアプリ|毎週ショートショートnote
410字
最近太ってきたなあ。
犬でも飼うか。いつ散歩してても不審に思われないし、名案かもな。前から大型犬飼ってみたかったんだよね。ゴールデンレトリーバーの毛並みとか笑顔とか、あこがれる。昔飼ってたのは、空き地で拾ったちっさい雑種犬だったし。
そんなある日。保護犬と飼育希望者のマッチングアプリを見つけた。
「顔をベッタベタに舐めまわされるのがニガテな、神経質なあなた。もとい、きれい好きのあなたには代行オプションがございます。当社スタッフがわんちゃんのヨダレを身をていして受け止めますので、心配ご無用」
これだ!と運命を感じ、譲渡会に参加。
柴犬とは思えぬ、デレデレわんこと恋に落ちた。初対面でぼくに飛びつき、ペロペロせんとす。
くノ一のような身のこなしで現れ、接吻を受ける細身の影。
「あの! 個人的に会うことはできますか?」
彼女は恥じらうようにうつむいた。
「ありがとうございます。……ここからは5倍の料金をいただきます」
(おわり)
毎週ショートショートnoteに参加いたします
いいなと思ったら応援しよう!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
いただいたチップはインプットのための書籍購入費にあてます。
また来ていただけるよう、更新がんばります。