ダブルパイロット｜毎週ショートショートnote それでも地球は曲がってる

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「おまえヘッタだなあ」
思った通りにまっすぐ飛ばない。
将来有望な資格を取ろうと、ドローンスクールで訓練中の身。
国家資格を持つ講師のもと、講習は順調に進んでいた…はずだった。よりによって、最終試験で不具合だなんて。

今朝、スニーカーを履こうとしたら、足の裏が流血した。それくらいに想定外の痛みだった。犯人はどんぐり。僕はそのちんまいのをつかみ、思いっきり線路に向かって投げた。
あれはなにかの暗示だったのだろうか。

「最後のトライです」
コントローラーを握る指に緊張が走る。再試験だけは避けたい。
軌道は、うねうねと僕をあざわらう。かと思えば、ダンスみたいな陽気な動きで空気をかき乱す。講師や仲間の視線が全身につき刺さる。

「あのさあ、くっさい足に踏んづけられたあげく、電車だぜ？ちょっとは痛い目みてもらわないとな」
どんぐりおばけは風に乗り、地球を見下ろす飛行を楽しんだ。

（おわり）

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