監督が怒ってはいけない合宿｜毎週ショートショートnote

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　サッカーやテニス、卓球に人気をとられつつある野球。競技人口の裾野をひろげるため、連盟はあらたな合宿を導入した。
　宿泊型施設で2週間みっちり鍛えられるのは、選手ではなく監督。旧態依然とした指導方法では、子どもたちの健全なる成長が見込めないためだ。

「そんなこともわからんのかっ！」
　ついぽろっと言ってしまう、強豪校の名物監督。早速タブーを口走ってしまった。
『そ、そんなことって、どんなこと～わかるように説明しよう』
『言わないとわからない～かみくだいてお願いね』
『つたえる努力を惜しまずに～教える側も成長しよう』
　四方に設置されたスピーカーから、調子はずれの音楽が流される。

「たるんどるぞっ！」
『た、たるんでるのは、あなたのおなか～おなか～キレる前に鏡を見てね』
『び、ビール～ビール飲みすぎ。走ろうねえ』

　輪唱される説教ソングが耳からはなれず、睡眠不足に陥る監督たち。
　感情をコントロールし、みずからの未熟さと向きあう、よき機会である。

（おわり）

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