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チョコレイ特区|毎週ショートショートnote

410字 

 とある都市のとある街。
 専門店をひらけば所得税を優遇される「チョコ特区」とされ、凄腕職人を要するショコラトリーが軒を連ねていた。
 各店がしのぎを削り年々レベルが上がっていく。人々はショコラティエたちの技と味に熱狂し、通称「ショコラストリート」に惜しみなくお金を落としていった。

 ツウでもめったにお目にかかれぬ職人がいた。
 彼はリアル店舗を持たぬ変わり者。1年のほとんどをカカオ原産国で過ごし、農園の土作りから携わっていた。ときおりふらっと帰国しては知り合いの店で寝泊まりし、宿代がわりにオリジナルチョコをこしらえる。
 その一粒はダイヤモンドにもたとえられ、希少価値のある文字通り垂涎すいぜんの品。

「チョコニートお? なんでまたそんなダッサイ名前つけんの」
「どこにも属さないニートみたいなもんじゃん?俺って。『無責任チョコ』とどっちがいいか真剣に悩んでるわけ」
 鼻のきく冒険者しか口にできぬ、珠玉のひとくちなのだ。

(おわり)

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逆に気になるネーミングかも(´∀`*)ウフフ

#毎週ショートショートnote #チョコニート #書庫冷凍 #賑やかし帯 #小説 #ショートショート

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藤家 秋
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