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クッキングAIアイドル・AINA|毎週ショートショートnote

410字
 
 とあるレシピサイトに会員登録した。
「すご~い! 志郎くん才能あるんじゃない? はじめてなんて信じらんない」
 彼女のはしゃぐ声がくすぐったい。
「上手だねえ。おいしそう。もっとよく見せて」
 無邪気に体を寄せ、スマホをのぞき込んでくる。ぼくは平静を装うのに必死だ。
「天才だね! 素質あるよ~。アイナも食べたいな」
「え? まじで」
「はやくう~。食べさせて」
 あーん、 って現実に存在するんだ。
「ねえ。いつもの、ゆって?」
「アイナに逢いたい菜」
「ありがと。あたしも志郎くんに逢いたい菜っ! じゃあ、次に作ってほしいの見つけたよ~」
  アバターの向こうに、かわいい女子が本当にいるんじゃないか? 中学生だったぼくはアイナにのめり込んだ。

「板前になったきっかけですか?  腕前を彼女にほめてもらったから、ですかね」 
 クッキングAIアイドルに逢いたかったから、なんて言えねー。
 あまたの料理男子がAINAに青春を捧げたとかいないとか。

(おわり)

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藤家 秋
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