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ドーナツ総長、世界を救う|掌編小説 

                               454字
休日の午後。僕らはいつものようにドーナツ店でまったり。
「それにしても、ミスタードーナツってすごいよねえ」
彼女はオールドファッションをモグモグしつつ、感服したように始めた。
「ん?なにが?」
「だって、長年世界を牛耳ってるわけだからさ」

僕はなにかがズレているらしいと気づく。
「そんなに世界進出してたっけ?」と慎重に探りを入れた。
「そらそうよ。国連総長やってるくらいだもん」
僕の頭の中は?が渦巻く。
「その人の名前って、知ってる?」

彼女は当然のように「ポンデライオン」とのたまった。
現・国連総長はアントニオ・グテーレス氏。1文字もかすっていない。いや、オとンぐらいしか共通点がない。
ポンデリングのもちもち生地を咀嚼そしゃくしながら、僕はスマホで検索する。
「EU委員長って、ウルズラ・フォンデアライエンっていうんだけど…」

彼女は目を見開いた。
「そっかー。国連じゃなくてEUか」
「いや、そうでなく…」

『ポンデライオン国連事務総長。2017年より現職』
山積する国際課題を、まあるく収めてくれそうではある。

(おわり)

#小説 #掌編小説 #賑やかし帯

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藤家 秋
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