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何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ⑯

アーティスト:アズティック・カメラ
名盤:ドリームランド

天才シンガー・ソングライター、ロディ・フレイム率いる、アズテック・カメラの第5弾アルバムです。
坂本龍一を共同プロデューサーに迎え、2人の個性が見事に融合した集大成的作品であり、新しいネオ・アコースティックの世界を創造した、1993年作品です。
アズテック・カメラは、1980年にスコットランドで、ロディ・フレイムを中心に結成されたニュー・ウェイヴ・バンドです。
ネオ・アコースティック・サウンド(ネオアコ)の中核をなすグループと位置付けられており、ギターポップ的な指針を示した最も大切なグループの一つです。
このアルバムは、初期に見られた清々しさ、青々しさはないが一つの到達点に達した、円熟したロディフレームが見られます。

1"Birds"
教授からインスピレーションを得て作られた打ち込みのバッキングは、ずっと聴いていても気持ちいいです。
複雑に練られたリズムをベースに、効果的に絡むロディのソフトなギターソロとロディの声に迷いは見られない。
シンセ主体ではあるけれど、しっかりヴォーカルを聴かせていて、流れるような雰囲気の名曲です。

2"Safe in Sorrow"
これまでだったら、もっとテンポを速くしたパワー・ポップ的なアレンジでまとめたのだろうけど、ここではゆったりしたポップ・バラードに仕上げています。
後半の女性コーラスは前アルバム『Love』っぽい。ゆったりとしたリズムの中でソウルフルに歌われる曲です。

3"Black Lucia"
ロディのギター・プレイは定評のありますが、その魅力のひとつに「弾きすぎない」点が大きなウェイトを占めています。
これ以上長いとしつこ過ぎるところまで行かず、効果的に収めてしまうところが、センスの良さを思わせるギター・ロックです。

4"Let Your Love Decide"
眠くなるほど心地よいバラード。、ゆったりした16ビートをベースとして、ホーンとギターで彩られる。終盤のストリングスがとどめを刺します。
途中で切り込んで来るホーンやバイオリンが味わい深い曲。

5"Spanish Horses"
 第1弾シングルというより、ここから教授とのコラボが始まった記念すべき楽曲です。
まだ『Dreamland』のコンセプトが固まる前にレコーディングされているので、まったり感は少ない。アタック音の強いスパニッシュ・ギターは効果的です。
タイトル通りのフラメンコ風のアレンジによるラテン・ナンバー。全英最高52位。

6"Dream Sweet Dreams"
あまり教授の影響を感じさせないパワー・ポップ・チューン。アルバム・リリースとほぼ同時にシングル・カットされ、全英最高67位。
間奏では、ロック寄りのギターソロが聴けるけど、こういったのはこれが最後になります。

7"Pianos and Clocks"
タイトル通り、ピアノと時計の秒針の響き、それにアコギ。このアレンジは教授へのリスペクトが窺えます。
マイナーで統一されたメロディは、過剰にならない程度のセンチメンタルを喚起させる穏やかな雰囲気のワルツです。

8"Sister Ann"
女性コーラスとの掛け合いも素晴らしい名曲です。単調なAメロによって、サビの「Sister Ann」が引き立っています。
ピアノと女性コーラスがサウンドを引き締めており、このアルバムの随一のポップ・ソングになっています。

9"Vertigo"
リズム・エフェクトに教授の影がちらほら。後半に進むにつれての盛り上がりは、大人のロックです。

10"Valium Summer"
女性コーラスと一緒に歌う幻想的なナンバーです。
アレンジは相当に凝っており、特に中盤のピアノ・ソロは、ポップのフィールドにいるだけでは思いつかないフレーズが頻発している。
ちょっとネオアコ期を彷彿させるギターの音色も効果的です。

11"The Belle of the Ball"
フォーキーなキーボードも冴える心温まる曲です。TBSで放送していた番組で使用されていたことによって、曲名は知らないけど聴いたことがある人は多いと思う。
ストレート直球勝負のアレンジと、徐々に熱を帯びるロディのヴォーカル、ほどよく抑制されたバンド・アンサンブルは、悩み苦しみ葛藤する若者の背中越しを経て、大人へと成長させる。

以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。

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