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どうしたアルバジ...

今回のファイトナイトのメインイベントで行われたブランドン・モレノとアミル・アルバジのフライ級トップランカー同士の一戦。

戦前予想としてはアミル・アルバジが3-0で判定勝利を収めると考えていたが、結果はモレノの完勝。


©︎Getty Images / UFC | Jeff Bottari

予想していた展開も結果も大きく外れる試合内容となった。

強かったモレノ、その一方で…


©︎Getty Images / UFC | Jeff Bottari

序盤からジャブでリズムを作っていったモレノは飛び込みのタイミングを掴み、ボクシングの展開を良い形で築くことに成功しており、カーフに対する反応もしっかりと出来ていた。

なので、モレノ自身の仕上がりは確かに良いものがあって、モレノは自身のパフォーマンスをしっかりと発揮していたと思うが、これまでのモレノと比べて見違えるような成長と武器を手にしていたような感じではなかった。

それよりも目立ったのはアミル・アルバジの力無いパフォーマンスである。

モレノと比べて圧倒的に少ない手数と防戦一方の消極的な展開の作り方、パンチに対する反応や、返しの攻撃なども精彩を欠いていたように感じられた。

その為、テイクダウンも効果的に機能させることが出来ず、対処する能力があるモレノには当然通用しなかった。

また、カイ・カラ・フランス戦で見せていたような勝負強さやタフなオフェンスといったアルバジの強みとなる要素が殆ど感じられなかった印象。

頭の位置を下げて構えるモレノに対して、蹴り上げや膝を合わせていく狙いは状況を一変させる攻撃として効果的なものだったと思うが、これも結局ちゃんと合わせることは出来ず、明確なヒットを見せることはなかった。

ただ、アルバジにも一発を打ち込める可能性はあったので、5Rのどこかで巻き返すアクションを取っていけるではないかと思っていたが、結局1〜5Rの全てでモレノがペースを握り、アルバジは完封負けする結果となった。

やはり怪我による影響と長いブランクが響いたのか、アルバジは良いところを一つも見せることが出来ないままUFC初黒星を喫することとなった。

転んでも起き上がって前へと進む、不屈のアサシンベイビー


©︎Getty Images / UFC | Jeff Bottari

ブランドン・モレノはキャリアを振り返って見ても分かるように決して勝ち続けてきたファイターではない。

寧ろ彼は負けを乗り越えながら逃した勝ち星をもぎ取って未来を切り開いて来たファイターである。

そういった逞しさもモレノに備わっている一つの武器と言えるだろう。

そこには彼の明るい人柄も活きている。

普通ならばやっと勝ち取った王座を失い、過去に勝った相手に敗戦し、王座が遠のく2連敗を喫してしまえば、負けのイメージが自信を揺らがし、自分らしいパフォーマンスを保つことが出来なくなってもおかしくない。

しかしモレノはアルバジとの一戦でも自身の強さを損なわず、寧ろロイバル戦の時よりも元気のあるパフォーマンス見せていたように見えた。

これは過去を嘆かず未来を見据えて一から築き上げていくことが出来る「不屈の魂」を持つモレノの強さであり、長い期間フライ級のトップにランクしている理由でもあるだろう。

それにしても今回の一戦でまさかこんな一方的な展開になるとは思わなかった。

まるでモレノの敗戦と衰退を予想した私のような者どもを一蹴してしまうような、そんな危なげない内容であっさりとアルバジを下したモレノは、連敗を2で止め復帰戦を見事な勝利で飾っている。

フライ級のタイトル戦線に変動を起こさせなかったモレノがしっかりと生き残り、王座挑戦の可能性を残すことになったので、ロイバルとモレノの二人が「とんでもないタイトルマッチ」の後に挑戦を控えるトップコンテンダーとなった。

説得力の乏しい王座戦を終えた後に、勝利を積み重ねてきたコンテンダーたちはどんな闘いを見せていくことになるのか、注目のフライ級はまだまだ動きを見せていくことになるだろう。

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