[UFC] バンタム級のフィゲイレード
12月3日に行われる「UFC on ESPN 52」のメインカードにてロブ・フォントVS.デイブソン・フィゲイレードのバンタム級マッチが行われる。
フライ級のチャンピオンとしてブランドン・モレノと激闘を繰り広げてきたフィゲイレードは、最軽量級のフライ級で4つのKO/TKOと3つの一本勝ちを収めており、モレノとの連戦を除くと10戦で7つのフィニッシュを挙げていることになる。
フィゲイレードはそれくらい打撃・寝技のスキルが高く、威力も十分に備わった破壊的なファイターだった。
しかしMMAでチャンピオンが、その格を示すために必要とされる「相性に対する対応能力」という部分で、フィゲイレードはモレノをカバーすることが出来ず、4試合を行って1勝2敗1分という結果で負け越してしまい最終的に王座も失うことになってしまった。
減量苦からの解放
その対戦結果はモレノの実力によって築かれたものであることは間違いないが、これまでフィゲイレードはフライ級で度々計量に失敗しており、軽量をパスしても減量による影響が大きく出てしまうこともあった。
というのも彼はフライ級でありながらナチュラルでは70kg以上のウェイトがあり、UFCフライ級の契約体重である56.7kgまで落とすには大幅な減量が必要となってしまう。
そういったところからも厳しい減量苦との戦いがあったことが窺える。
また同時にそこからフライ級でもパワーで圧倒することが出来ていた理由が分かる。
ただその所為で体調不良を引き起こすことも多くなり、年齢を重ねるにつれてフライで試合を行うことが難しくなって来ていた。
そしてモレノに敗れたことでフィゲイレードはついにバンタム級へと階級を上げることを決め、今回バンタム級での初戦が行われることになった。
これでフィゲイレードは大きく減量幅を縮めることが出来るようになるので(バンタム級契約体重61.3kg)、体への負担は当然少なくなっていくだろう。
ただ問題はフライ級で輝いていた彼のパワーがバンタムの階級でも通用するのかというところだ。
パワーも耐久力も上がるバンタム級でフライ級の時のような活躍が出来るのか、無理にでもフライまで下げていたフィゲイレードは自身のアドバンテージを活かすことに成功していたが、バンタム級ではそれがなくなることになるので、ある意味フィゲイレードの真価が試されることになっていくだろうと思われる。
初戦からランカーマッチ
とは言えUFCの中で元フライ級王者・現フライ級2位という偉大なキャリアを築き上げて来たわけなので、彼が特別なファイターであることは間違いない。
それを裏付けるのがロブ・フォントとのランカーマッチというマッチメイク。
現在バンタム級で8位というランクを持っているフォントといきなり対戦することが出来るフィゲイレードは、それだけUFC側から評価され期待が向けられているということ。
ただこれは同時に「本当にバンタムでも戦えるのか?」というUFCからの確認でもある。
ここでフィゲイレードが勝てないようならバンタムで上を目指すのは厳しいという見方をされかねない。
これはフィゲイレードにとって大きなチャンスであるのと同時に大きなリスクでもある。
フィゲイレードはモレノにフォントはサンドヘイゲンに敗れ、互いに前戦を落としている者同士の復帰戦は果たしてどちらに傾くのか。
フォントはボクシングが非常に得意なストライカーなので、組みの面でフィゲイレードはやや優勢となるのかもしれないが、問題は打撃で勝負できるかどうかなので、ストライキングでどちらが上を行くのかに注目が向けられる。
かつてはタイトルマッチ戦線に近づいていたフォントだが、アルド戦を落としてから勝率は思わしくない。
そんな下がり調子のランカーであるフォントを喰って、バンタム級初戦でランカー入りするというシナリオをフィゲイレードは実現することが出来るのだろうか。
バンタム級の勢力図が変化する可能性を孕んでいる注目の一戦。
跳ね返されるのか、突き抜けるのか、バンタム級のフィゲイレードに期待と注目が向けられる。
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