[怪物の帰還] UFC285 ヘビー級タイトルマッチ
3月5日に開催されるUFC285にてヘビー級のタイトルマッチが行われる。
前ヘビー級王者フランシス・ガヌーがUFCとの契約を更新しなかったことで空位となったヘビー級の王座をかけて大きな一戦が組まれることとなった。
ジョン・ジョーンズ VS. シリル・ガーン(1)
あらゆる猛者・チャンピオンクラスを相手にしながら勝ちを積み重ね続け、レコードの傷は反則負けによるものだけ、UFC最年少王者にしてライトヘビー級を8度防衛した最多防衛記録も保持する絶対王者として君臨し、まさにPFPとしてUFCのトップに立っていた怪物・ジョン・ジョーンズが3年ぶりにオクタゴンへと帰還する。
長い間ヘビー級に対応するための身体作りを行なっていたジョーンズが満を持してヘビー級へと乗り込んでくる。
その初戦がタイトルマッチであるという時点でジョーンズというファイターに向けられる絶対的な評価とその説得力を伺い知ることが出来る。
対するはヘビー級のランキング1位のファイターシリル・ガーン。
ジョーンズの対抗馬としてガヌーに可能性が見出されていただけに、その一戦が行われることなくヘビー級のタイトルを決めることになってしまったのは残念な気がするが、ガーンはヘビー級の中でもスピードとテクニックに長けておりパワーだけでごり押すような単純なファイトスタイルの選手ではない。
ジョーンズをヒーローとしているだけあって、ガーンのファイトスタイルはジョーンズのそれと似ている部分がある。
そんなガーンが絶対的なレジェンドを相手に現代MMAの経験値や試合勘のアドバンテージを活かすことで対抗していくことは出来るのだろうか。
勝利者の精神
多種多様な戦術やテクニックを用いてあらゆる相手を倒してきたジョーンズは高いファイトIQと勝利を呼び込むための鋭い嗅覚と判断力を有している。
非常に長い射程を持つ打撃に加えて高いレスリング技術を併せ持ち、発想豊かな意外性のある一撃でピンポイントなフィニッシュチャンスを生み出すことも出来る。
そんなジョーンズは多くの壁や高いハードルを超えてきた経験から勝つための流れや、そのメンタリティを身につけており、育まれてきた大きな自信によって勝ちの感覚が染み付いている。
そういった相手に負けのイメージを背負わせるためには多くの危険を排除しながら明確に追い詰める必要があり、達成難易度の高い工程を全ラウンドを通してミスなく遂行していく必要がある。
そうして初めてアンダードッグが勝利者の精神を飲み込むことが出来る。
しかしガヌーに跳ね返されてしまったガーンにはそれを達成させるためのカードがまだ足りていないような気がする。
ジョーンズがヘビー級に転向して初の試合で階級にフィット出来ているのか分からない状況ではあるが、ガーンが勝つビジョンというのはあまり見えて来ない。
蝕むダメージ
ガーンに可能性があるとすればカーフや三日月など戦闘続行を困難にさせる蓄積ダメージを通すこと、もしくはカットで視野を奪いながらヘビー級転向初戦のデメリットを突いて、スタミナを削り後半戦を有利に進めていくプランを実行していくことなのではないかと思う。
しかしジョーンズはメイウェザーのように勝利に必要なポイント換算にも長けていて、”ここ”という局面を制して必要分のポイントを確実に押さえてくる。
ガーンはそこを超えて自分の勝利プランをジョーンズに押し付けていかなければならない。
そのためには技術だけではなくガーン自身の運も大いに必要となってくるだろう。
間違ってもガーンは上記にあるような打撃をジョーンズからもらってはいけない。
果たしてガーンは大きなチャンスに結びつく展開、その流れを手繰ることはできるのだろうか。
ヘビー級タイトルの行方
世界が注目するUFCの最重量階級のタイトル戦。
ガーンはガヌーに負けるまで無敗のまま快進撃を続けていた。そして復帰戦ではタフネスと強打で相手を薙ぎ倒して来たタイ・トゥイバサに激戦の末TKOでの勝利を収めている。
しかし相手は攻略難度の非常に高い実質無敗のレジェンドであるジョン・ジョーンズ。
彼はドーピング違反や素行の悪さなどの問題からベルト剥奪も経験しており、王者の資質に欠ける上にクリーンではないという点で疑念を持たれるファイターでもある。
ただMMAのスキルやその資質が天才的であることは確かであり、チャンピオンに求められる適応能力の高さも試合を通して披露してきた。
ファンやファイターも魅了するUFC285は果たしてどんな結末を迎えるのか。
伝説が築かれるのか、時代が変わるのか。
いずれにせよMMA界トップとも言える存在が新たに誕生することになる。
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