[UFC]モカエフはフライ級の頂きまで辿り着けるのか?
ファイトナイトながら豪華なカードが数多く並んだ今大会にはレコードに傷の付いていないファイターが複数参戦している。
その中の1人がムハンマド・モカエフであり、アマ・プロ含めて未だに負けなしというダゲスタン出身のファイターである。
他のダゲスタンファイター同様にレスリングをベースとしたグラップリング技術に優れており、UFCでのフィニッシュは全てサブミッションとなっている。
グラウンドコントロールで判定もしくは一本勝ちを安定して狙うことが出来るモカエフなのだが、ランキングを上げていくにつれてこれまでとは少し違う流れが試合の中で見られるようになってきた。
まず対戦相手のレベルが上がったことでテイクダウンを簡単に取ることが出来ない場面が増えてくるようになった。
その影響で以前と比べるとドミネートする展開が減少しつつあるように感じられる。
スクランブルの攻防から危ない展開に陥ることもしばしばあり、逆転フィニッシュなどで何とか評価が下がらないような状態にはなっているものの、一歩間違えば黒星が付いてもおかしくないような窮地に追いやられてしまう場面も見受けられている。
そして今回の試合ではスタンドの打撃も強烈なものは無く、テイクダウンからのコントロールも特に脅威的というわけでも無かった。
寧ろスタミナに不安が見られるような弱々しい姿が目立っていたように思える。
相手がペレスのように試合間隔の空いた選手ではなく、勢いのある選手だったならば今回のモカエフは勝ちを得ることは難しかったのではないかと思う。
また、カイ・カラ・フランスやマネル・ケイプのように一発のパワーがありながらグラウンド対応にも優れているような上位の選手たちであれば、弱った素振りを見せてケージを背負うモカエフをもっと厳しく攻め立ていただろうと思うので、そういう意味では今回ペレスは非常に勿体無い戦い方をしてしまったのではないかと思う。
パントーハ攻略の可能性はアルバジのみか?
パワー・グラップリング技術・タフネスという項目で王者であるパントーハに対抗出来る可能性が今一番高いのはアミル・アルバジだと感じているが、モカエフもその可能性を孕んでいる1人ではあった。
しかし今回の試合を見ると、モカエフがパントーハを相手に5ラウンドを戦い抜き、そして最終的に押し切れるというイメージはあまり沸かなくなってしまった。
パントーハはとにかく前に出ていくので、その勢いにカウンターを合わせられた場合などパントーハのスタイルが裏目に出ない限り、勝ちを得るだけの優勢をモカエフが築くのは中々難しいのではないかと感じる。
そうなると今後タイトルを奪えるのかどうか、その可能性にも怪しさがチラつき始めているように思える。
果たしてモカエフはこのまま王座まで突き進んでいくことが出来るのだろうか。
フライ級の今後
スター選手や強烈さを感じさせる選手が乏しくなりがちな軽量級の階級で、数少ないスター選手の1人であるモカエフに疑問符が付くような試合が少しずつ見られるようになって来たところを鑑みると、この階級で大きな動きが見られるのはまだ先のことになるかもしれない。
流れが停滞しつつあるUFCフライ級に風穴を開け、新たな時代をもたらすのは一体誰になるのか。
内容のクオリティに浮き沈みはあれどレコードを維持し連勝を続けているモカエフなのか、それとも結果的にカラ・フランスとの激戦を制することに成功したアルバジなのか。
もしくは日本からUFCへと旅立った平良達郎、マネル・ケイプとなるのか。
期待するだけのポテンシャルと可能性はあるだろう。
また堀口恭司や朝倉海など実力のある日本人ファイターが参戦を匂わせてもいる。
フライ級は日本人の可能性が残された階級でもあるので、この日本人ファイターたちが新たな流れをもたらし風穴を開ける存在となる未来も十分にあり得るだろう。
そういったことを踏まえると現時点で動きがあまり見られないフライ級の動向にも引き続き注目が向けられる。