[UFC288] “TripleC”がオクタゴンに帰ってくる!
軽量級の王としてUFCに名を轟かせていた元二階級王者のヘンリー・セフードがオクタゴンへと帰ってくる。
フライとバンタムのベルトを獲得し、栄光を掴んだ後に電撃引退した彼が約三年の月日を超えて現役の舞台へと舞い戻ることになった。
そんな彼の復帰戦となる注目の一番は何とバンタム級のベルトを賭けたタイトルマッチ。
それは俺のモノだと言わんばかりに、セフードはかつて保持していたバンタム級のベルトを再び狙いに行く。
それにしても三年という長いブランクを抱えながら、復帰戦でタイトルマッチが組まれるなんてUFCがセフードに向ける信頼がどれ程のものなのかが窺い知ることが出来る。
これを迎え討つのはピョートル・ヤンとTJ・ディラショーを退けた王者・アルジャメイン・スターリング。
強敵を相手にその王座を防衛をしてきたが、次はは一つの伝説が相手となる。
果たしてバリバリ現役の“ファンク・マスター”が時代を切るのか、それともまだ及ばぬと“TripleC”が力を示して現トップを一蹴するのか。
スターリング VS. セフード
セフードは小柄だが二階級を制覇出来るだけの出力と骨格を持っていることに加えて、レスリングでオリンピックを制覇するだけの技術も備え持っている。
そのパワーと体の強さを活かして激闘をものにしてきたセフードは、組み展開の安定したスキルを強みにしながら強力なストライキングで苛烈に攻め込む脅威的なオフェンス力で相手を蹂躙していく。
この攻守に長けた頑強さがセフードを強者たらしめる一つの要素となっている。
対するスターリングの強みとして真っ先に思い浮かぶのは、バックテイクの上手さとコントロール力の高さ。
バックを奪ったらボディトライアングルでコントロールして確実に相手の体力とポイントを奪っていく、スターリングはそういった技術に非常に長けている。
スターリングもセフード同様にレスリング巧者であり、NCAAディヴィジョン3でオールアメリカンに2度選出された猛者である。
そんなスターリングは膝下を狙ってのテイクダウンが上手く、触れることが出来ればそこから自分の形を作っていくことが出来る。
そこから分かるようにレスラーである両者は互いに組み技術を長所としているが、ストライキングやガッツにスタミナという部分ではセフードの方が上回っているのではないかと感じる。
特化スキルとトータルスキル
スターリングは強い展開に入れば非常に強いが、弱い部分につけ込まれると途端に衰えてしまうところがある。
それはスタミナが低下した終盤やテイクダウンが取れずに打撃で押される展開になった際にとてもよく現れている。
その点セフードはどの局面でもしっかりと戦うことが出来て、相手を打ち負かす術を持っており、気持ち的な部分で遅れを取るような様子も見られない。
そうなるとこの試合はスターリングがセフードに色々な意味で削られるような戦いになっていくのではないだろうか。
ピョートル・ヤンとの試合ではテイクダウンを繰り返し奪うことが出来たので、最終的にポイントをリードすることが出来たが、セフードにも同じ戦法が通用するのだろうか。
もしタックルを切られ続けてしまったら、スターリングにとっては地獄のような展開が5R続くことになるかもしれない。
アウトボクシングで攻めて飛び込んできたところに合わせるのか、蹴り足を狙うのか、それともクリンチしてからケージへ押し込みレベルチェンジで寝かせにいくのか。
スターリングも迎え撃つための手段は多数あると思われるが、そこを決められるのかどうかが肝になってくるのでないかと思う。
それがこの大一番の勝敗を分ける大きなポイントとなってくるだろう。
果たして現在の王座が固く守られていることが証明されるのか、それとも3年経っても尚王座を奪う力を持っているという驚異的な証明がなされるのか。
いずれにせよ、年内に予定されている数あるビッグマッチに引けを取らない注目の一戦となることは間違いない。