見出し画像

[PANCRASE] 伊藤盛一郎、プロ無敗の挑戦者を退ける!

現フライ級キング・オブ・パンクラシストの伊藤盛一郎が無敗の挑戦者ムハンマド・サロヒディノフをサブミッションで下して初防衛に成功した。

○伊藤盛一郎VS.●ムハンマド・サロヒディノフ
※伊藤の3R一本勝ち(ワンハンドチョーク)


王者と挑戦者を紹介する煽り映像


MMAの強豪国が集う中東に位置するタジキスタンからやって来たサロヒディノフは、世界の各団体で猛威を振るっている中東勢の選手たちと同様に、強力なレスリングとフィジカルを併せ持った力強いファイターである。

また、サロヒディノフはアマチュアのMMA世界王者を獲得している選手でもあり、プロ戦績はパンクラスでの2戦だけとなっているが、アマチュアでは14勝2敗と戦績を重ねており、UFCのモカエフのように十分な説得力を携えてプロの舞台に上がって来た選手でもある。

タフで一発があり、圧倒的なレスリング技術をMMAに落とし込んでいる中東勢の選手を日本人が退けることは非常に難しいことなので、このカードが組まれた時点では防衛するのは難しいのではないかと感じていた。

しかし、ボクシングと同様に軽量級であれば日本のMMAファイターも世界と渡り合うことが出来るということが今回の試合で示されることになった。

新鋭の台頭を許さなかった王者・盛一郎


引用元:(C)PANCRASE

今回の防衛戦を振り返ると、テイクダウンとスクランブルの強さはサロヒディノフが上回っているように感じられる場面が多かったものの、伊藤が対処出来ていなかったわけではなく、むしろ受けに回ることで攻めるサロヒディノフが持つ脅威の最大値がどのくらいのものなのか測っているようにも見えた。

そして何とかできる手応えを得たのか、壁レスやテイクダウンで攻められながらも伊藤は非常に落ち着いた様子を見せており、スタミナの消耗もサロヒディノフより抑えられているようだった。

その結果、スタンドでの安定感は伊藤が勝るようになり、乱れ始めたサロヒディノフは強引なタックルが目立ち始めるようになる。

その攻撃手段はさらにスタミナの消耗を激しくさせるため、サロヒディノフの動きはさらに荒く雑さが目立つようになり、結果的に耐え続けた伊藤が様々な局面で優位に立つようになった。

そして遂に伊藤はサロヒディノフを投げてテイクダウンを奪うことに成功する。

サロヒディノフはすぐに立ち上がろうと動くが、それに合わせて動いた伊藤がバックを奪うと、さらに有利なポジションを確保することに成功し、そこで焦ってエスケープしようとしたサロヒディノフはディフェンスが疎かになり、首の守りを怠ってしまう。

堅実なスキルが粘りを潰す


引用元:(C)ゴング格闘技

そこを逃さなかった伊藤は、サロヒディノフの首に左腕を深く巻きつけると、そのまま右肩を掴んでロックしワンハンドでチョークを極める体勢に入った。

こういった極めの際で粘って危機を脱出することが出来るタフネスさを持っているのも中東のファイターたちの特徴ではあるが、伊藤は焦らず冷静にサロヒディノフの粘りを潰して、逃すことなく失神で仕留めることに成功する。

そこに王者・伊藤盛一郎が持つスキルセットの力強さが表されている。

こうしてMMAの強豪国タジキスタン出身かつプロ無敗の挑戦者という異常な勢いを持ったサロヒディノフを退けて初防衛することが出来た伊藤盛一郎は改めて高い技術力を有していることを証明した。

この相手にここまでしっかりと明確な内容で勝ちを得ることが出来る日本人ファイターは非常に貴重だと思うので、今後パンクラスからその先へ挑戦する姿も見てみたいと思った。

ただ、今回のサロヒディノフはより完成度の高い中東のファイターに比べると、やはりまだ荒削りに感じられる部分があり、テイクダウンから極めまで寄せていく流れや、相手をコントロールするためのパウンドの活用など、脅威となる武器がまだ備わっていないところもあったように感じるので、サロヒディノフがこれから経験を積んで成長した後でもフライ級を守れるかどうかが今後の課題になってくるだろう。

総合格闘技というカテゴリーの中では世界の壁に阻まれている日本にとって、軽量級MMAファイターの成長は世界と戦うための最低ラインの確保に繋がってくると思うので、日本MMAの強みを伸ばすという意味でもこの階級の今後の成長に注目したい。




いいなと思ったら応援しよう!