日本人王者による統一戦
本日世界ライトフライ級の王座統一戦が埼玉スーパーアリーナで行われた。
WBCのベルトを持つ寺地拳四朗とWBAのベルトを持つスーパー王者の京口紘人による一戦は、そのカードが組まれた時から様々な予想がなされるなど、多くのボクシングファンの注目を引いていた。
多くの人が拮抗した試合になるだろうという予想を立てながらも、僅かに寺地拳四朗優勢の声が多い印象だった。
遠い距離でも近い距離でも勝負出来る上に、ジャブが上手く強打もあり、深く潜り込んできたらバックステップでいなす、といった感じで攻守共に隙がない寺地の総合力が評価されていた。
ただ近距離でのインファイトに関しては京口の方を評価する声が多く、得意な形に追い込めれば京口にも可能性があるという見方もあった。
加えてアウェーでの防衛経験を重ねている京口にはメンタルの強さやガッツにも定評があり、寺地に対抗するための一つの武器になるだろうという声もあった。
そして試合当日の今日。埼玉スーパーアリーナではアンダーカードが次々と行われていき、盛り上がりが高まったところでWBC王者・WBAスーパー王者の両選手がリングインした。
王者の猛威と意地
試合は序盤から寺地の強烈なジャブが猛威を振るっていた。
1ラウンドでは京口も良いジャブを返し、刺し合いとなっていたが、その中でもプレッシャーをかけているのは寺地の方だった。
側から見て一発の威力とキレ、そして回転力が段違いだった印象。
また、過去に複数回の対戦経験を持つ両者だったが、勝ち越しているのは寺地の方であり、相性という点でも寺地は優位にあったのではないかと思われる。
そういった過去の経験から寺地は京口に対する得意意識を少なからず持っていただろうし、そこから長い時間が経過し大幅なレベルアップが出来た今、その意識はより確固たるものになっていたと思う。
確実に倒すことが出来るし、その結果を得るだけの具体的な算段があると。
リングの上で軽快に攻め続ける寺地の姿から、そんな背景が透けて見えるような気がした。
ブロックしながら攻撃を凌ぐ京口は次第に削られていき、さらに攻め手に欠いている状況が苦しさを物語っていた。
そして5R目、ついに京口は寺地の右ストレートをモロに被弾してしまいダウンを奪われてしまう。
しかしこの試合で京口が脅威的だったのはこの後だった。
ダメージを負いフラフラな状態で京口は寺地の猛攻を凌ぎ、打ち疲れたところに強烈な反撃を仕掛けていったのだ。
絶対に負けない、諦めないという意地が寺地を押し返した。
その反撃はダウンを奪い返しそうなところまでいったが、ゴングが鳴ってラウンドは終わり、奪い返すまでには至らなかった。
それから寺地は消耗したスタミナの回復を図ろうと遠距離からの攻撃に切り替えアウトボクシングで京口を削っていった。
確かに寺地は疲れていたが、それ以上に京口のダメージは深刻だった。ジャブによるダメージの加算もかなり効いていたように見えた。
その中でなんとか京口も手を返してはいたが、危険を感じるようなパンチはもう返せなくなっていた。
この時点でその結果がもうそこまで来ているのは明らかだった。
そして7R目、ダウンした時と同じ右ストレートを再び被弾すると京口はロープへうなだれるように力無く倒れてダウンすると、レフェリーが割って入り試合をストップした。
○寺地拳四朗VS●京口紘人
圧倒的な差を見せながら、ほとんど一方的な内容で日本人王者対決を制した寺地はWBCとWBAのベルトを手にしてその王座を統一した。
恐らく寺地は今後、計量時にも話をしていたゴンサレスとの3団体統一戦に向けて動いていくのではないだろうか。
それが実現すると仮定して、今回のイベントで行われたゴンサレスの試合と寺地の試合を比較して考えると、寺地がWBOのベルトを飲み込むのは時間の問題なのではないだろうかと考えてしまう。