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井上尚弥、2階級で4団体統一達成!
日本の井上尚弥(WBC・WBO)がマーロン・タパレス(WBA・IBF)を10R KOで下してスーパーバンタム級4団体統一を果たした。
これで井上尚弥は史上2人目の2階級4団体統一王者となった。
4Rに井上尚弥はマーロン・タパレスからダウンを奪い、このまま早々に試合を決めてしまうかと思われたが、不屈の闘志を燃やすタパレスはそれ以降のラウンドで巧みなディフェンスを活かしながら井上尚弥を相手に打ち合いを展開させた。
これはもしかしたら判定までもつれるかもしれない、タパレスはそんな空気を作るくらいの粘りを見せていた。
統一王者が粘りを見せていることが健闘している雰囲気に繋がってしまうくらい井上尚弥という存在に対するハードルは上がってしまっている。
そんなプレッシャーが井上尚弥の動きを単調にしているようにも見えた。
そんな中、タパレスはL字ガードを展開させて守りを固めながら要所でパンチを返していくことで自分のリズムを作り始め、耐え抜いてきたという結果が勢いを与え始めている節もあった。
ガードの上を叩き続けていた井上尚弥がやや強引になったところにタパレスはパンチを返して上手く立ち回っているように見えたが、勝ちを得るためには守りを解く必要がある。
L字ガードでガードを固めながらディフェンシブに勝ちを狙えるのは、ポイントでリードし試合を支配している方になる。
ダウンを奪われ、ポイントを失っているタパレスは上手くやるだけでは勝ちを奪えない。
タパレスは何処かでまた勝負を仕掛けていく必要があった。
そんな山場を待つような均衡が築かれるラウンドを超えて辿り着いた第10R、これまでのように井上尚弥の強打がタパレスのガードの上を叩くと、これまで耐えてきたタパレスがスタンスを維持することが出来ずに後退し始める。
効いたことが分かった井上が追撃を加えるとタパレスはガードを上げたままロープまで吹き飛ばされると、静かに崩れ落ちてしまった。
4Rには立ち上がって来たタパレスもここでは立ち上がること出来ずに10カウントが唱えられることになった。
フィリピンのファイターが持つガッツとポーカーフェイスでダメージを悟られることなく耐え忍んで来ていたタパレスだったが、最終的には井上尚弥のパンチがそれを上回っていく結果となった。
これはガードを固めてディフェンシブな戦い方を展開しパンチのクリーンヒットを防いだとしても、井上尚弥の攻撃を耐え抜くことは難しいということを示している。
ガードの上からも貰うことが出来ないパンチというのは対戦相手にとってとんでもないプレッシャーとなるだろう。
今回の統一戦は井上尚弥にとって珍しい「苦戦」と見られる部分もあったかもしれないが、「全身全霊のタパレスの硬い戦法」という新たな難易度も打ち砕いてクリアしたことで、ガードが固い相手に対してクリーンヒットがなくとも打ち続ければ勝利をもぎ取れるという新たな可能性を示した。
そうしてまた一つのパターンを攻略し、吸収した井上はまた一つ成長を遂げたことになる。
退ける難しさを超えたファイターは、それを糧にしてさらに強靭な隙のない選手へと進化していく。
今回井上尚弥はそのステップさらに進み、4本のベルトと共に貴重な経験を吸収した。
テレンス・クロフォードに次ぐ史上2人目の2階級4団体統一を果たした井上尚弥が次戦に迎えるのがアフマダリエフなのかネリなのかは分からないが、新たな要素を持ち込まなければ井上と勝負することは出来ないと思われるので、彼らがどんな戦法で臨んでいくのか、その点に注目が向けられる。
加えてその世界トップクラスのボクサーが準備したものを井上尚弥がどのように攻略し、そして吸収していくのかというこれからの“モンスター”の進化の過程にも注目が向けられる。