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先細りが懸念されるONE ChampionshipのMMA

ONEは格闘技団体の中でもキック・ムエタイ・グラップリング・MMAを展開している非常に珍しい団体で、幅広い競技を取り扱っている。

ただ様々なジャンルを取り扱うということは難しく、どうしても偏りが出てしまう。

現在ONEはキック・ムエタイといった立ち技の試合が開催される頻度が上がり、MMAの試合が組まれる機会が少なくなってしまっている。

当初はUFCやPFL (Bellator)に対抗したアジアのMMA団体といった印象だったが、資金面などの都合なのか徐々に立ち技競技を主流とする方向に傾いていった。

その結果、MMAの各階級の動きは鈍くなり、ランカーやチャンピオンの試合数も減少したことで試されるチャンスや証明するチャンスを失い、ONEのMMAが持つ説得力が薄まりつつある。

各階級のトップファイターたちの実力が高く評価できる状態であることは変わりないとは思うが、力を示す機会が得られないとファイターを団体に留めることは難しいので、この状況が続けばそういった実力あるファイターたちが外へと流れていくことになるだろう。

そうなればONEのMMAは徐々に衰退していくことになる。

有力ファイターの離脱と層の薄さ


©︎ONE Championship

現にONEで2階級制覇を達成したライニアー・デ・リダーは試合数の少なさなどを理由にONEを離脱し、その後UFCと契約を結んでいる。

それだけのキャリアを築いたファイターが団体からあっさりと離脱してしまうところに団体としての魅力の低下が感じられる。

デ・リダーはアナトリー・マリキンに2連敗し、持っている王座を失った後にONEを離れているので、試合数以外にも色々と理由はあると思われるが、復帰戦が次いつ行われるのか分からず負けた状態が長く続くというのはファイターとして耐え難いものがあるだろう。

そしてそのアナトリー・マリキンに勝利したONE世界ヘビー級チャンピオンのオマール・ケインPFLのフランシス・ガヌーとの対戦を呼びかけている。

恐らくマリキンを倒してしまうとONEの重量級にはもう目ぼしい敵がいない状況なのだろう。

アフリカNo.1のMMAファイターを決めるといった理由付けなどはあるが、ONEではさらに上のステージを望めないことの表れでもあるのではないだろうか。

こういったところからONEのMMAが重量級の層の薄さに問題を抱えていることが伺える。

全体から見ても母数の少ない重量級ファイターの調達は、どこの団体も苦労するところではあると思うが、試合数も少なく選手層も薄いONEの状況は目玉となる重量級の先細りを感じさせる。

MMA部門の今後


©︎ONE Championship

重量級の勢いがなくなり、人気と盛り上がりが低下すれば、徐々に他の階級にもその影響は伝播していくことになるだろう。

ONEは男子MMAの試合でもストロー級を採用している団体でもあり、日本人選手も活躍の場を得ることが出来る海外の団体となっている。

なので是非MMAにもスポットを当てて所属ファイターがステップアップを感じやすい環境を構築してもらいたいと感じる。

ただ、ムエタイの試合開催数が圧倒的すぎて中々バランスを取っていくのは難しそうだ。

なので「MMAの影が薄くなる」というのはある程度避けられない問題なのかもしれない。

その中で「盛り上がり」「競争心」をどのように煽り、高めていくのか。

それによって今後のONE・MMAの盛衰は分岐していくことになるのではないかと思う。

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