[UFC] マカチェフVS.ポイエー
UFC302で行われるライト級のタイトルマッチ。
(C)イスラム・マカチェフVS.(4)ダスティン・ポイエー
前戦で強敵であるブノワ・サン・デニに劇的な勝利を収めたポイエーは、ライト級王者のイスラム・マカチェフへの挑戦権を得た。
ライト級ランキング1位に上り詰めたアルマン・ツァルキヤンよりも先に挑戦することになったポイエーは、年齢的なことを考えても今回の王座挑戦がベルトを獲得できる最後のチャンスとなるかもしれない。
ただ現実的なことを考えるとポイエーがマカチェフを攻略することは非常に難しいと言えるだろう。
ブノワ・サン・デニ戦でもそうであったように、ポイエーは組みの展開に持ち込まれてしまうと防戦一方となってしまい、強みを活かしきれない状態にされてしまう傾向にある。
その組みの展開で脅威となるレスリングの技術に長けているのが王者マカチェフなので、サン・デニのように最終的にポイエーに反撃のチャンスを与えてしまうようなことにはならないだろう。
テイクダウン能力とトップコントロールの両方が非常に高いレベルにあるマカチェフは、相手を逃さずに寝かして、漬けるorフィニッシュの流れを確実に作り出すことができる。
オリベイラのグラウンドから逃れられなかったポイエーが、そんなマカチェフの攻撃から逃れられるとは思えない。
勝機があるとすればスタンドでの打撃勝負になってくるのだろうが、マカチェフはストライキングの技術も伸ばしてきているので、打撃勝負に持ち込んだとしてもポイエーがアドバンテージを握ることが出来るのかどうかは怪しいところがある。
過去に一度TKO負けを喫しているマカチェフは、そこら辺の危機感知能力も非常に高い。
加えてミスも少ない上に、仮に効かされたとしても一発で失神させない限り、グラウンドの展開から盛り返すことができるという強みがある。
これはダゲスタンの強豪選手に通じる要素でもあるけれど、彼らの頭一つ抜けたレスリング技術はMMAとの親和性が非常に高いため、とても強力な切り札として機能しているのだ。
また、打撃でも一発一発がフィニッシュを狙った攻撃になっている上に、倒すために効かせるべきポイントを的確に突いた攻撃も挟んでくるため、それを掻い潜りながら攻めに転じなくてならないと考えると、やはり倒し切る難しさを感じてしまう。
そんな高難易度のミッションを晩年のポイエーがクリア出来る確率は非常に低いだろうと思う。
マカチェフのようなファイターにサプライズが起こることは基本ないだろうと思うので、ポイエーが勝つためにはタックルを切って打撃でダメージを蓄積させ、スタミナを削り取ることで強みを奪い取るという堅実な組み立てが必要になるはずだ。
ただ万が一全てが上手くいったとしても、年齢的なところから来るスタミナ問題で、あと一歩攻め手が足りずポイントをリードし切れないといった展開に陥ってしまうのではないかと思う。
そのような理想的なルートを辿ってもポイエーが勝利する道筋が見えてこないので、大きなトラブルでも起こらない限り、このタイトルマッチはマカチェフが勝利を収めて防衛に成功することになるだろう思われる。
恐らく早い段階でKOもしくは一本でのフィニッシュ勝利を決めて終わらせるのではないかと思う。
そのため、番狂せを期待することは出来ないけれど、ポイエーにはマカチェフの新しいデータが拾えるような展開を作り出すことを期待したい。