[UFC] 変動するフライ級。
UFCファイトナイト・ラスベガス74のメインイベントで行われたカイ・カラ・フランスVS.アミル・アルバジの試合。
●カイ・カラ・フランスVS.○アミル・アルバジ
アルバジのスプリット判定勝ち
この試合の結果には多くの人から疑問の声が上がっている。
それくらいの接戦となっていた試合ではあったが、全体を通して優勢な展開を保ったのはカイ・カラ・フランスのように見えた。
ただアルバジのニアフィニッシュは大きな差をつける明確な評価ポイントではあったと思う。
しかしそれ以降で良い展開を作れていたのはカイ・カラ・フランスだったように感じていたのでスプリットの判定でアルバジがコールされた時は少し驚いた。
その結果が全くないとは言えないが、素人目にはドローもしくは僅差でカイ・カラの勝ちの要素の方が多く感じられる内容に思えた。
ただ結果的にカイ・カラが負けたことでフライ級のタイトル戦線が面白くなったことは確かだ。
現チャンピオンのモレノに勝つことが出来ていないカイ・カラが残るよりも、連勝中の新たな挑戦者の方が今後のタイトルマッチや挑戦者決定戦の盛り上がりは良くなるだろう。
そういう意味では今回の試合によって、フライ級は新鮮で刺激的な要素を改めて獲得したことになる。
フライ級の今後
今回判定勝利を収めてタイトル戦線へと躍り出たアミル・アルバジ。
筋肉量や骨格に加えて体の厚みもあるアルバジは恐らくバンタム級でも戦えるだけの出力を持っているはずだ。
実際にキャリアの中ではバンタム級でも試合を行なっている。
なので当然組み力も打撃の一発もある、その上サブミッションが得意で寝技の技術も強力なものがある。
そうなるとスタンド・グラウンドの両方で強く戦うことが出来るので、フィジカルとパワーを併せ持つフィゲイレードのような存在になり得る可能性があるのではないかと思う。
アルバジは今回カイ・カラに勝利したことで今後タイトル戦に絡んでくることが予想される。
UFCを離脱したアスカル・アスカロフや、ドクターストップによりフライ級での試合は難しくなったフィゲイレード、かつてフライ級のトップに位置した強豪がその場所から姿を消し、フライ級のトップのポジションには今現在隙間が出来つつある。
その中でモレノVS.パントーハのタイトルマッチが行われ、そして勝利した方は次戦でアルバジの挑戦を受ける可能性があるので、もしかしたら今後トップ層に大きな変動が生まれることになるかもしれない。
過去の対戦から時間は空いているが戦績を鑑みると、モレノとパントーハでは相性はパントーハの方が良いと思われる。
しかし、パントーハとアルバジだとパントーハのストロングポイントに対抗できる組みスキルや身体の強さがあるアルバジの方が相性が良くなる可能性がある、なのでもしパントーハが新チャンピオンになったとしても、その後には厳しい防衛戦が待っていることになるかもしれない。
何にせよまずはモレノVS.パントーハの結果によってフライ級のベルトがどちらの腰に落ち着くことになるのかを見届けたい。
日本人ファイター、王座への距離
現在フライ級で活躍する平良達郎が越えるべき壁は非常に多い。
今回の上位ランカー同士のぶつかり合い、その激闘を見て改めてそう感じた。
下位のランキングにも上位を喰おうと息を巻いている強力な選手が控えているので、上へ上がっていくには相当な技術とハングリー精神が必要となってくることだろう。
けれど、このままUFCの試合を通じて成長しながら前へ進むことが出来れば、平良達郎がその高みへと手を掛けられる可能性はあるのではないかと感じる。
強い選手、これまでにないタイプの選手など様々な選手との試合経験を通してUFCで経験値を稼げれば、トップレベルに対応するだけのクオリティを築ける資質が平良達郎にはあるのではないだろうか。
また現在Road to UFCにて、UFC入りの切符獲得を目指している鶴屋怜がその後に続くことが出来れば、フライ級における日本人ファイターの期待はさらに高まることになる。
そういう意味ではUFCフライ級の注目度は以前よりも遙かに高まって来ていると言えるだろう。
今後も彼らが勝ち上がっていく姿を追っていきたい。