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[UFC]動きを見せるバンタム級

今回行われたファイトナイトのメインイベントでコーリー・サンドヘイゲンVS.ウマル・ヌルマゴメドフが行われ、5Rを戦い抜いた結果、攻勢を維持したヌルマゴメドフが判定勝利を収める形となった。

●コーリー・サンドヘイゲンVS.○ウマル・ヌルマゴメドフ
※ヌルマゴメドフの5R判定勝ち


引用元:©︎Getty Images / UFC | Josh Hedges

ヌルマゴメドフはこれでランキング2位の座を手に入れることに成功した為、これから行われるショーン・オマリーVS.メラブ・ドバリシビリのバンタム級タイトルマッチの勝者と試合を行うことになるだろう。

つまりヌルマゴメドフは次期タイトル挑戦者になったということになる。

ただ、オマリーもドバリシビリも総合力でヌルマゴメドフを上回ることは考え辛いので、将来的にヌルマゴメドフが王座を手にする可能性は非常に高いのではないかと思う。

今回、サンドヘイゲンはヌルマゴメドフのテイクダウンへの対処を見事に行ったが、次の一手を打つことが出来ず、スタンドで優位を奪えないまま手を拱いている内にヌルマゴメドフに安心感を与えてしまい、息をしやすい状況に身を置いたヌルマゴメドフにそれ以上の脅威を与えることは出来ず、結果的にサンドヘイゲンが力負けするような結末となった。

この内容から考えると、サンドヘイゲンが見せたような対処能力でディフェンスしながら、スタンドで優位を奪えるだけの攻撃手段を合わせ持っている必要があるということが分かる。

そうでなければスタンドに持ち込んでも勝ちを奪うための追撃の一手を打つことが出来ず、攻勢に出て相手よりも多くのポイント奪うということが出来なくなってしまう。

その堅実な対処能力と打撃センスを合わせ持っているような総合力の非常に高いファイターがヌルマゴメドフ越えには必要なのだろうと思う。

例えばイリア・トプリアのような存在がそれにあたるのではないかと思う。

ではバンタム級ではどうなのか。

オマリーとドバリシビリの両者は共に秀でた長所を持ってはいるが、同時にヌルマゴメドフが崩せるであろう綻びを抱えているのではないかと思っている。

メラブ・ドバリシビリの場合


引用元:©︎Getty Images / Getty Images sports | Sean M. Haffey

ドバリシビリはスタミナやレスリング技術、そしてフィジカルとパワーを合わせ持ったハイレベルなファイターではあるが、良くも悪くも猪突猛進なところがあり、パワフルではあるがそれをいなされたり上手くいかない状況になっても自分の強さを押し付けようと前進してしまう強引なところがある。

これをヌルマゴメドフに向けた場合、事前にドバリシビリの荒さを解明したヌルマゴメドフが打撃でもグラップリングでも少しずつ上手を取りながら自分の流れに引き込み、どこかのタイミングでスクランブルを制して的確なポイントコントロールを行われ、ドミネートされてしまう恐れがある。

シンプルなのは強みでありながら、脆さにもなりうる要素なので、その戦い方を読まれてしまうと後手に回らされてしまう危うさがあるだろう。

ヌルマゴメドフはとにかくミスが発生しない立ち回りを徹底している上に、その堅実なスキルの上に高い総合力を育んでいるため、ドバリシビリの頑張りや勢いに戸惑うこともないと思われるので、冷静に見られて空回りさせられることになれば、試合の組み立てという部分から劣るような結果になってしまうのではないかと感じている。

可能性があるとしたらドバリシビリがガチャガチャにした展開で打撃を当て、ヌルマゴメドフを勝負所までに疲弊させることが出来た時だろうと思う。

そこでドバリシビリのスタミナが違いを生み出す武器となって活かされることになれば、もしかしたらという流れを持ってくることが出来るかもしれない。

ショーン・オマリーの場合


引用元:©︎Getty Images / Icon Sportswire | Icon Sportswire

オマリーは攻撃面、特にスタンド状態でやり取りされるストライキングの部分でヌルマゴメドフより優位に立てる可能性があるため、ヌルマゴメドフからラウンドを奪う立ち回りが出来るという明るい要素を持っている。

しかし、サンドヘイゲンほどの対処能力があるようには感じられないので、ヌルマゴメドフのテイクダウン地獄に引き込まれてしまう可能性が高いのではないかと思っている。

タックルを警戒できる位置からジャブなどの打撃を放てるという点で自分のペースを築きやすく、優れた打撃スキルを持つオマリーにとってそれは有利になれる要素として一つの強みにはなるが、それだけでヌルマゴメドフを押さえ込むことは難しいだろう。

ヌルマゴメドフは必ずそれに対抗するために組みの展開を作り出してくるはずなので、そこで対処しディフェンスをやり切る必要がある。

それが出来て初めてオマリーはヌルマゴメドフより優位に立つことが出来るようになるだろう。

そこの力強さやガッツのぶつけ合いで遅れを取り、ヌルマゴメドフに削られまくる展開に陥ってしまうと、スタンドでの強みを活かし切れないもしくは活かさせてくれないような結果になってしまうのではないかと思う。

ただ、ヌルマゴメドフの組みを切って攻勢を維持することが出来たとしたら、オマリーはバンタム級の中で最も対ヌルマゴメドフの適正を持ったファイターになるだろうと思う。

なのでアドバンテージを活かして翻弄しつつ相手の強みを正面で受けない戦い方が出来るかどうか、そこがポイントになってくるのではないかと感じている。

バンタム級でもう一人、可能性を持つ者


引用元:©︎Getty Images / UFC | Josh Hedges

今回のファイトナイトではもう1試合バンタム級のランカーマッチが行われている。

それはマルロン・ヴェラVS.デイブソン・フィゲイレードである。

この試合では、テイクダウンと的確な打撃を組み合わせて優位を確保し続けたフィゲイレードが最後までリードを維持し、主導権を相手に奪わせることなく勝利に繋げた。

その結果、自身よりも上にランキングしているヴェラを撃破したフィゲイレードは、ランキングを上げることに成功した。

●マルロン・ヴェラ(4)VS.○デイブソン・フィゲイレード(6)
※フィゲイレードの3R判定勝ち


引用元:©︎Getty Images / UFC | Josh Hedges

フライ級時代は、バンタム級というフライよりもパワーも耐久力もサイズもある階級で張り合うことを避け、パワーで有利を確保していくために無理にでも体重を落としフライ級にしがみついているのではないかという疑いの目を向けていたところもあった。

しかし、実際にバンタム級に転向したフィゲイレードは着実に勝ちを積み重ねている上に、パワーも十分に通用しており、技術と強みをミックスさせながら上手く戦い、バンタム級の中でもトップクラスの強さを見せることに成功している。

むしろ減量のリスクを軽減することが出来たことで、より優れたコンディションを確保することが可能となっており、自身のパフォーマンスを引き出すことに繋げられているように見える。

フライ級の最後の方の試合よりもバンタム級の試合の方が力強さを感じられるところもあるので、フィゲイレードはもっと早い段階でバンタム級への転向を行なっていてもよかったのかもしれない。

いずれにせよバンタム級でも上位ファイターとして活躍出来ることを証明したフィゲイレードは、高い柔術スキルを駆使したグラップリング能力と破壊力のある打撃、そして素早い踏み込みを活かしながらバンタム級のランカーたちを次々と下してきた。

それはつまり、フィゲイレードのスキルセットと身体的なスペックは他のバンタム級ランカーたちを凌駕していることを表していると言えるだろう。

それはもしかするとヌルマゴメドフにも届く武器となりうるかもしれない。

特にフィゲイレードが持っているパワーのある打撃、そして素早い踏み込みはヌルマゴメドフにダメージを与え、戦況を覆すカードとして機能する可能性がある。

組み展開になった場合でも、フィジカルと対処能力が備わっているフィゲイレードは切り抜けることを可能とする技術を持っているため、ヌルマゴメドフの得意な展開でも好きにさせないという期待が向けられる。

ただ、劣勢に立つと気持ちが後退する様子が目立ってしまうところもあるため、一気に流れを持って行かれてしまう心配もある。

また、一本負けでフィニッシュをされた経験をしているというところも、厳しい勝負の別れ際で響いてくることになるかもしれない。

しかし、現在のバンタム級のランキングの中で、王者であるオマリーや1位のドバリシビリ以外にヌルマゴメドフに対抗しうるスキルを持っていると考えられるのは、恐らくフィゲイレードだろうと思われるので、仮にヌルマゴメドフが王座を獲得した場合は、その後の挑戦者としてこの両者のカードが組まれることを期待したい。

そうなるとその前にオマリーかドバリシビリのどちらかと一度対戦する流れになるだろうと思われるので、そちらも合わせて期待したい。

9/15はオマリーVS.ドバリシビリのバンタム級タイトルマッチ、トップ層で活発な動きが見られるバンタム級に熱い注目が向けられる。


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