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統一戦の段階へと入った日本ボクシング黄金期

日本人ボクサーが多く活躍する軽量級において、日本ボクシングは黄金期を迎えている。

主要4団体のベルトをそれぞれの日本人ボクサーが分け合うバンタム級を始めとして、軽量級には王座を保持する日本人ボクサーが名を連ねており、階級によってはその席が徐々に埋まりつつある。

そういった状況もあって、遂に日本ボクシングの黄金期は次の段階へと駒を進めようとしている。

それが「統一戦」であり、日本人同士による王座の奪い合いという避けられぬ戦いになる。

日本人王者が同じ階級の中で複数現れることになってくれば、これは必然の流れと言えるが、いよいよそのぶつかり合いの狼煙が上がる。

2月に行われるプライムビデオボクシング11では大注目のバンタム級王者による防衛戦が開催され、恐らくここをクリアすればいよいよバンタム級も統一戦へと舵を切っていくことになるのではないかと思う。

そして3月には両国国技館でトリプル世界戦が行われ、その中にはフライ級の王座統一戦が含まれている。

WBC世界フライ級王者・寺地拳四朗VS. WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟


Photo By スポニチ

どちらも王者に相応しい能力を備えた実力の持ち主なので、この2人が潰し合うことになってしまうというのは惜しく感じるが、これも王者の宿命であるため致し方がない。

しかしこれだけハイレベルな統一戦が日本人同士によって行われることになるというところに、改めて軽量級における日本人ボクサーの実力の高まりを感じる。

また、この統一戦は阿久井自身が「相性は悪い」と語っているように、恐らく寺地が有利に試合を進める可能性が高いのではないかと思う。

手数やスピードに加えて、フットワークや試合作りの巧みさといった部分で、寺地は阿久井の堅実さや力強さをいなしながら上手を取っていく流れを作るのではないかと感じている。

さらに寺地はパワーという点でも十分な能力を持っているので、手数とヒット数で勝れば必然的にダメージでも大きくリードしていくことが可能となるはずだ。

そうなってしまったら阿久井が巻き返していくのは難しくなってしまうだろう。

しかし消耗戦に持ち込んで阿久井のプレッシャーとフィジカルが効くようになれば、強みである「一発の威力」で戦況を変化させていくことが出来るかもしれない。

ただその時点で残りのラウンド数が少なくなっていた場合、追い込むことが出来てもあと一手足りなくなってしまうと思うので、消耗戦でアドバンテージを取るのであればスタートからある程度エンジンを掛けていく必要があると思われる。

新たなる「偉大なボクサー」生み出す黄金時代

この黄金期を先導する井上尚弥は残りの現役期間を使って遥かな高みへと登って行こうとしている。

それに呼応するようにバンタム級やフライ級といった階級でも日本人同士が鎬を削り、統一王者を生み出すことで井上尚弥に続く新たなる「偉大なボクサー」を輩出して行こうとしている。

日本の素晴らしい才能同士が削り合うというのは惜しいことだが、結果的にそれが新たな歴史を作り出すことに繋がる。

そんなとても熱い時代にリアルタイムでその戦いを見ることが出来るというのはとても喜ばしいことなので、2月・3月の興行や井上尚弥の防衛戦などに注目して、これからの日本ボクシングの発展を目に焼き付けていきたい。

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