[ボクシング] 井上尚弥、さらなる高みへ
バンタム級で4団体統一を果たした井上尚弥はスーパーバンタム級に階級を上げ、そのSバンタム級でナンバーワンと目されるスティーブン・フルトンと2本のベルトをかけたタイトルマッチを行い、見事TKO勝利を収めた。
そして井上尚弥が2本のベルトを手にした時点で、すでにその準備は整うこととなった。
スーパーバンタム級 4団体統一戦
井上尚弥(WBC・WBO)VS.マーロン・タパレス(WBA・IBF)
この二人の戦いが正式に決定し、12月26日・有明アリーナで試合が行われる。
いつも井上尚弥の試合は「まずKO勝利を想定する」という異常な前提が設けられる。
個人的には前回のフルトン戦でその考えが確信的なものに変わったような気がする。
実績やスキルを鑑みても井上尚弥が有利となる組み合わせなので、良い意味で有明アリーナに再び大きな衝撃が生まれるのではないだろうか。
ただ、勝負において絶対はないので、万が一の確率でも間違いが起きる可能性は残ることになるだろう。
特にこういった圧倒的な差が明確になっている組み合わせでは、そういったことが起こりやすかったりもする。
ディフェンスに優れ一発があるタパレスが正攻法では勝てないであろう井上に対して、トリッキーな手で意表を突いてくることでラッキーを生み出したり、ガチャガチャした展開から一発をヒットさせる可能性はある。
そういった事故を起こす危険性の高さという意味ではフルトンよりも厄介なところがあるかもしれない。
しかし、それを踏まえた上でも井上尚弥の勝利は固いだろうと思う。
井上尚弥の強さの中には、そういった間違いを起こさない「ブレの無さ」がある。
これまでも格下・勝って当然という相手と勝負して、その通りの結果を収めてきた。
格下の相手に対して「それだけの差をつけてしっかりと勝つ」というのは、求められるハードルが大きく上がるので中々に難しいところがあるけれど、井上はそういうところもきっちりと処理してきている。
そこにミスを犯さないクオリティの高さと優れた安定感が示されている。
タパレスはアフマダリエフに対して番狂せを起こしたが、その勢いが井上尚弥にまで届くことはないだろう。
仮に何かしらの攻撃で不利が生まれることがあったとしても、井上尚弥はきっとそれすらも乗り越えてしまうのだろうと思う。
それくらいに井上尚弥は規格外で「普通」が当てはまらない存在なので、上手いことやるぐらいの戦術・戦法で凌げるはずがない。
上手さの光るハイレベルなフルトンが爪先を踏むという反則を重ねてもまるで及ばなかったというところからも、井上尚弥のボクサーとしての幹の太さは周りのボクサーと比べて段違いなものであることが窺える。
ポール・バトラーと違ってタパレスが初めから打ち合いに臨むのだとしたら、とても早い段階での決着も十分にあり得るだろう。
クロフォードに次ぐ史上2人目の2階級4団体統一が掛かった、この大きな試合を会場やLiveで観られることはとても幸せなことだ思う。
必見の12月26日、今から楽しみにして待ちたい。