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平良達郎キャリア初の敗戦を経験する

メインイベントで行われたUFCフライ級1位ブランドン・ロイバルと同級5位の平良達郎の一戦。

両者ともにラウンドを取り返し合う熱戦を繰り広げたが、経験と技術力に富んだUFC1位の壁は高く、無敗ゆえに未成熟となっていた要素が響き、僅かに差をつけられてしまった印象。

特にボクシング技術ではロイバルが上手を取っており、平良は外すことが出来ずにまともにもらうシーンが目立った。


©︎Getty Images / UFC l Chris Unger

一方グラップリングの展開では平良が優位を築き、グラウンドコントロールでラウンドを確実にもぎ取っていった。


©︎Getty Images / UFC l Chris Unger

しかし、これまでなら極めにいける展開や流れをロイバルの必死なディフェンスによって防がれてしまい、平良はこれまで上手くいっていた分、得意な攻撃が通用しなくなると別の選択肢へとすぐに移行していくことが出来ず、優位を取ってはいるが手詰まり感が漂うという不穏な流れを感じることになる。

ラウンドが進むほど平良はダメージ蓄積とスタミナの消耗でテイクダウンを取りづらくなってしまい、ロイバル有利なボクシングの展開が続いてしまう。

それでも平良は気力を振り絞ってロイバルからテイクダウンを奪い、何とかコントロールするが、極めることは出来ずまた明確なダメージを蓄積させることも出来なかった。

明暗が別れたのは最終ラウンド、打撃を被弾しながらも攻撃を返す平良は最後のテイクダウンを仕掛けるが、最後の最後にロイバルは平良の組みに対応するとバックを奪い攻勢の印象を残したままラウンドを終えることになった。


©︎Getty Images / UFC l Chris Unger

結果、2-1のスプリット判定でロイバルが平良を退け1位を死守し、再びタイトルへと挑戦する機会を得ることになった。

ここまで無敗で快進撃を続けてきた平良は、それ故に引き出しの広がりや上手くいかなかった時の対応やその経験が圧倒的に足りなく、無敗ゆえの脆さが僅かな差を付けられる要因となっていたのではないかと感じる。

今回キャリア初の敗北を経験した平良はタイトル挑戦という目標に対して、また一から積み上げていくことにはなるが、これまで得ることの出来なかった学びをロイバルから得ることが出来たので、この敗戦を機にまた更に強くなっていくのではないかと思う。


©︎Getty Images / UFC l Chris Unger

これでMMAファイターとしての厚みが一層増していくことになるはずだ。

時間もエネルギーも十分に残されている平良は可能性の塊と言えるので、タイトル挑戦前に必要な学びをここで得ることが出来たのは逆に良かったのではないかと思う。

一ファンとして今回の敗戦を悔しく感じるところがあるが、これからが更に楽しみになったところもある。

効果的な攻撃の引き出しの増加や打撃に対するディフェンス力の向上、トップレベルのファイターをも攻略することが出来るもう一段階上のグラップリング技術など、トップファイター攻略に必要な要素を集めていくことが出来れば平良はより強靭なファイターとして仕上がっていくことになるだろう。

様々な実力者の力と知恵を借りながらパワーアップした姿を次戦で見ることが出来たら良いなと感じている。

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