[UFC] ヴォルカノフスキーは階級の壁を超えることが出来るのか?
今週末にアブダビで行われるUFC294で急遽メインを務めることになったヴォルカノフスキーはライト級の王を超えることは出来るのか。
階級制のスポーツにおいて、一つの階級差は別クラスの領域といってもいい程に大きな違いを生む。
フェザー級で王座を獲得しトップコンテンダーを悉く退けてきたヴォルカノフスキーであっても、ライト級を支配するマカチェフを攻略することは出来なかった。
ただあのビッグマッチでヴォルカノフスキーは一階級下とは思えないくらいの闘いぶりを見せ、最後はマカチェフに肉薄した。
そんな二人が再びぶつかることになる。
圧倒的に不利な組み合わせ
この闘いでは基本的に多く部分でマカチェフが有利になる。
サイズ・パワー・寝かせる技術・トップコントロールなど様々な場面でマカチェフはヴォルカノフスキーに対して優位を築くことが出来るだろう。
タックルを警戒して踏み込めないでいるとマカチェフの打撃の的となり、大振りな打撃で強引に入り込むと首相撲やカウンター・タックルなどの反撃で対処されてしまう。
ヴォルカノフスキーが得意とするスタンドでの攻撃リズムが作れない状態で強引に突破口をこじ開けようとしていた前回の戦いでは、マカチェフに手の内を読まれ的確に対処されてしまっていた。
しかしその中でヴォルカノフスキーは最終ラウンドに怒涛の攻めを見せて、この試合の中で最も印象的な場面を作ることに成功している。
挑戦者が有利となるポイント
ヴォルカノフスキーはマカチェフに対して「スタミナ面」では有利性を築くことが出来る可能性がある。
腕や胸に厚みのあるマカチェフの肉体はパワフルで組み力があるが、その分消費する酸素の量は多くなるだろうと思われる。
それに比べるとシャープな筋肉のつき方をしているヴォルカノフスキーの方が消耗しにくい可能性が高い。
これは階級下のファイターが持つ利点と言えるだろう。
なので大きなダメージを負わなければ5Rの中で最後まで「元気」でいられるのはヴォルカノフスキーの方になるだろう。
実際、前回の戦いでも最後まで消耗を感じさせなかったのはヴォルカノフスキーの方だった。
ただ、相手はライト級敵無しのイスラム・マカチェフなので、そのアドバンテージを最大限に活かすための仕掛けを積極的に行なっていく必要がある。
着実に削るための攻撃
そのために活きてくる攻撃として個人的に思うのは、蓄積ダメージを与える攻撃。
というのも、前回多くのラウンドで後手に回らざる負えなかったヴォルカノフスキーが、マカチェフに対して効果を反映させることが出来たように見えた攻撃がまさにそのタイプの攻撃だったからだ。
インロー、ボディブロー、テイクダウンディフェンス。
全体のラウンドを通してこれらの攻撃を続けてきたことが、マカチェフの5R目の大きな消耗に繋がっていたように感じるので、ヴォルカノフスキーが早い段階でそういった攻撃をマカチェフにヒットさせられるかどうかで勝率が大きく変わって来るのではないかと思う。
コンビネーションの中でボディを狙い、ローで削って機動力を奪い、タックルを切ることで激しく消耗させる。
前回の戦いでヴォルカノフスキーが積み上げたマカチェフを弱体化させる一手一手を明日のリマッチでよりオフェンシブに繰り返すことが出来れば、スタミナとスピードで勝りラグビー上がりの頑強さを併せ持つ非常にタフなヴォルカノフスキーが自身の強みを活かせる状況を作り出せるようになるかもしれない。
また、ライト級の中で飛び抜けた制圧力を持つマカチェフのレスリングは、非常に強力な寝かせる技術・立ち上がらせない技術を内包しているので、対戦相手からすると脅威極まりないスキルではあるが、それは同時に彼を攻略するための鍵にもなってくるように思える。
マカチェフは攻撃面でも守備面でも重要な一手を打つ時にタックルを繰り出すことが多いので、そこを挫くことは同時に主導権を奪うことにも繋がってくるだろう。
けれどそれが非常に難しく、今のところどのファイターもそれをやり切ることは出来ていない。
それでもヴォルカノフスキーは前回、終盤の方のではその動きが出来ていたように思う。
ローやインロー、ボディなどでダメージを蓄積させ、テイクダウンディフェンスでスタミナの消費を加速させたことがそれを可能にさせていたと思うので、マカチェフ攻略の鍵もそういった蓄積させる攻撃要素に掛かっているのではないか思っている。
諦めない闘志で階級の壁を超える
前回の敗戦からリベンジを希望していたヴォルカノフスキーが、急遽のオファーに応える形で実現したマカチェフVS.ヴォルカノフスキー2。
良いところを見せながらも判定3-0と大差で敗れたヴォルカノフスキーは、階級の壁を感じながらも自身が世界最高のファイターであることを信じて疑わない。
ライト級でも抜きんでた実力を披露している王者・マカチェフに勝利をすることを諦めていないのだ。
フェザー級においては世界のトップにあるヴォルカノフスキーが、再びマカチェフに挑戦することで過去の自分超えにも挑むことになる。
今回の戦いもオッズが指し示すように当然マカチェフが有利となってくるだろう。
けれど、フェザーの王がライト級でもその強みを活かして暴れることが出来れば、もしかしたらエドワーズが見せたようなアップセットを起こせるかもしれない。
挑戦者として更なる高みを目指すヴォルカノフスキーが偉業を成し遂げる可能性を信じてみたい。