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新しいまちづくりのための「5本の柱」(後編)

前回に引き続き、新しい広川町を築くために必要な「5本の柱」について掘り下げてお話ししたいと思います。
今回は「3.暮らしやすく災害に強い生活インフラの整備」と「5.未来を創るには人材育成が不可欠」の2本です。

3. 暮らしやすく災害にも強い生活インフラの整備

これは「安全・安心で暮らしやすいまちづくり」を意味します。
当然のことながら、住民の皆さんが安心して暮らせる環境づくりは、まちづくりのベース(基盤)です。
国や県と連携し、自然災害に強く、誰もが利用しやすい生活環境を整備していきます。

まず災害対策ですが、減災を目的とした河川改修や井堰統合などに取り組みます。
平成24年7月14日に発生した九州北部豪雨で、私の実家がある八女市長野地区も甚大な被害を受け、減災には限界があることを身をもって知りました。
予想不可能な規模の豪雨や台風、地震など「想定外の出来事」が起こりうる時代であり、自然の大いなる力の前に人間は謙虚であるべきだと思います。
減災に全力で取り組みつつも「命を守ること」に集中する、最低限の備えも進めます。

具体的には、消防や消防団、警察などの地域の安全基盤を形成する組織と情報連携を密に図り、適切な避難誘導につなげていきます。
そして、誰もが安心して避難できる避難所の環境を整えます。
それらを災害時にスムーズに実施するには、平時から職員が訓練を積み重ねなければなりません。
なぜなら、訓練でできないことは実際の現場でも絶対にできないからです。
これは、私が消防団員として、また、町の職員として数多くの災害現場を経験しているからこそ強く思うことであり、災害現場で極度の緊張を強いられる町職員を守るためでもあります。

そのほか、公共交通の利便性向上にも取り組みます。
人口減少が進む地方では公共交通の先細りが懸念されますが、その要因は「収益性」です。
バスや電車は「運賃収入で経費を賄うもの」という考えが基本だとは思いますが、それでは人口が少ない地域の人たちの暮らしはどうなるのでしょうか?
車を運転できない子どもたちや高齢者にとって、買い物や通院、公共施設の利用は都市部で暮らす人と同じように必要です。
「赤字路線だから」という理由だけで見捨てられることを簡単に容認することはできません。

一方で、民間企業である交通事業者がその責任を担うには限界があることも分かります。
そこで「赤字路線」ではなく「生活路線」と捉え、公共が責任を持つことでこの問題を解消したいと考えています。
道路や水道のように、生活を支えるインフラは公共が整備して維持管理を担う、という考え方の延長です。
具体的には、ドアトゥドアの移動を支えるデマンド型乗合タクシーの利用料金の引き下げや利用方法の円滑化に加え、町を東西に貫く路線バスを検討すべきだと思っています。
これを実現することで、上広川・下広川の子どもたちが、自力で安全に中広川にある図書館や町民交流センターを利用できるようになります。
また、自転車の運転に自信のない中学生も安全に通学できるようになり、もっと暮らしやすい地域になると考えています。
もちろん、通学路の拡張整備も国や県に強く要望します。


そのような考えのもと、以下の事業に取り組むことで、暮らしやすい地域づくりを進めていきます。

•ふれあいタクシーの利便性向上
•通学路の安全対策の強化
•防災、減災のための道路及び河川整備の推進
•消防団の活動支援や避難所の充実
•公共交通ネットワークの充実
•国や県と連携した交通渋滞対策


5.未来を創るには人材育成が不可欠

5つ目は「未来に挑戦する人材を育てる」ということを意味します。
どんな政策も最終的に実行するのは「人」です。
AIやロボットなら機械の実行ボタンを押すだけですが、新しい政策の実現には「人」の手が欠かせません。

私は約20年間、広川町役場だけでなく、さまざまな地域で自治体の仕事現場を見てきました。
その経験から確信するのは、どんなに崇高な目的を掲げても、十分な予算が付いたとしても「担当する職員のやる気と能力がセットにならなければ事業はうまく回らない」という事です。
担当する職員の意識と能力の差で、事業の質も達成までのスピードもまったく違ってきます。
その結果、有能な職員に仕事が集まるようになり、その職員の負担が増えて疲弊し、最終的に心が折れ職場を去っていく姿を何度となく目の当たりにしました。

なぜ、このようなことが繰り返されるのか。
本当に悔しい思いをしてきたし、何より住民にとっても大変不幸なことだと思っています。
私がリーダーになったとき、私は必ず自らが先頭に立ち、自らも学ぶ姿勢を示しながら、職員との対話を充実させ信頼関係を築いていきます。
そうすることで「困難な状況にも果敢に挑戦していくチーム」をつくることができると考えています。
もちろん、民間人材の活用も重要で、人事交流や外部委託に加え、住民の皆さんからも事業提案を募集するなどして、内部人材と外部人材の連携による相乗効果を狙っていきます。

戦国武将の武田信玄公の言葉と言われる「人は城、人は石垣、人は堀」に表されるように、「人」がいかに重要であるか、古来より多くのリーダーが語ってきたことです。


私も、「人」を育てることが町を育てることにつながると信じ、以下のような取り組みを進めます。

•幹部職員に対するマネジメント実務教育
•町職員へのコーチング研修
•民間企業との人事交流
•若者未来会議の開催
•住民提案型事業の実施

「5本の柱」は、あくまで基盤づくりに過ぎません。
家づくりも、柱を立てて終わりではなく、屋根をかけて部屋を作り、外構も整えてようやく出来上がります。
まちづくりも同じで、5本の柱を立て終える頃には、また新しい課題も見えてくるでしょう。
しかし、その先には必ず、広川町の「より良い未来」が見えてくると思っています。
まちづくりは、終わりのないバトンリレーです。
これまでを担ってこられた先輩方から受け取ったバトンを、次の世代へと引き継ぐまで、私はまちづくりのランナーとして、全力で走り抜きたいと思っています!

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