#010 海を感じる人
「君やな。瀧やんところの子」
初めての異動当日。メンバー8人、係長1人編成の小さな係に異動して、今日は定時で上がれそうだなと胸を撫で下ろしていたところに、スッと現れて声をかけられた。
陽によく焼けた顔。ちょっと笑いながらかけられた声は気持ちいい響きだった。お互いの部署が離れてからも、ずっと一緒に飲みにいく隣の係のその人は、いつも飄々としていて、いつも穏やかに話をする。
異動が確定した日に、一つ目の職場でお世話になっていたおっちゃんが、同じ部署に知り合いがいるからと、私の目の前