昭和レトロを訪ねて
神田界隈
神田といえば、最近ではカレー。
もちろん、世界最大の古書店街も有名ではありますが、その勢いはカレーに奪われているのではないでしょうか。
そんな「神田カレー」ですが、元祖は高級欧風カレー「ボンディ」。
創業年をChatGPTに尋ねたら、「私は自然言語処理の人工知能であり、オンラインで情報を収集することができますが、このような具体的な情報については持ち合わせていません。申し訳ありませんが、回答できません」と、「くだらないこと聞くなよ」という態度の答えが返ってきた。
そこで、Bingで聞くと、「昭和48年(1973)創業」とのこと。
本当かなぁ。
神田古書センターの2階にできたのは、そんなに前だったのかな。
1980年代初頭、学生の時に友人に教えてもらって知ったのだが、当時1,100円もした。なにせ、学食のカレーが200円程だった頃である。
当然、働き始めてから食べに行った。
ちなみに、別の友人だが、その学食のカレーに福神漬けがつかずに、100円程高いカツカレーにはつくことに不満を持っていた。
「なんでカレーに福神漬けをつけてくれないだよ、おかしいじゃないか。つけてよ」と、彼は学食のおばさんに主張していた。
学食のおばさんは、顔を合わせないように仕事をしていた。
すると、「あっ、」 彼は手をのばして勝手に福神漬けを取り、自分のカレーにつけたのである。
そのおばさんも、まわりのおばさんも、顔をそむけ、見なかったことにした。
彼はのちに、これを「福神漬け闘争」と呼んでいた。
しかし、その場面に出くわした私はどうなるのだ。学食のおばさんたちに、友人だと思われたのだ。断言する。私は福神漬けで戦ったことなどない。
とまれ、「ボンディ」である。
以前は、靖国通りから神田古書センターの中の階段で2階に行ったのだが、今は裏からしか行けない。行ってみてわかったのだが、2階が別の漫画書店になっていた。
火曜日の午後2時頃です。あの狭い廊下で、少しは待つつもりでいったのですが、階段まで並んでいるのを見て即座に諦めました。
「マンダラ」は、裏のさくら通りにでたところにあります。
こちらも、神田カレーチャンピオンになっています。
味は? 「美味しかった」以上の答えを私に求めてはいけません。
しかし、確実に言えるのは、インドで食べたカレーよりは、絶対に美味しかった。
哀しいのは、カレーは全部食べましたが、ナンを半分くらいしか食べられなかったことです。歳です。
見てください。わが流星号の雄姿を。
いまどき、車いすを盗む奴はいないだろうと、平気で待たせました。
けなげなやつです。
靖国通りの南側に、日当たりを避けて古書店が並びます。
その裏路地に、なかなか昭和レトロの喫茶店が点在します。
まずは、「さぼうる」。創業は昭和30年(1955)。
赤いダイヤル式の公衆電話は、今も使えるのだろうか。
60年以上やっていたマスターが昨年亡くなられ、代替わりしたという。
40年以上誤解していたのは、店名の「さぼうる」は、「サボる」をひねったものだと思っていたが、スペイン語の「SABOR(味)」だと、今回ネットで知った。
ちなみに、「サボる」は、「サボタージュする」の略で、ここでサボる人が多いからだと思っていた。たぶん、私だけではないだろう。
こういう、40年以上の誤解が解けるのは、自分の愚かさを笑ううれしさがある。
こちらは、創業昭和24年(1949)の喫茶店。
スペイン語でレンガを意味する『ラドリオ』という店名にちなんで、ファサードは煉瓦で作られている。
この日は営業していなかった。
私が知っているのは、この入り口のラドリオだが、以前はもっと大きく、前の道まで(この写真では後ろ)奥でつながっていた。その部分は、現在「ミロンガ・ヌオーバ」となっている。
ミロンガはアルゼンチンタンゴの喫茶店で、この写真の向かいの突き出た黒く塗られた看板のところだった。
ラドリオは今回のレトロ喫茶店では一番シンプルで、昭和の純喫茶という趣であった。
テーブルの上に、三島由紀夫の学生向けの文章が置かれていて、当時、一冊も三島由紀夫を読んだことがなかった私が、「三島由紀夫が来ていたんだ」と訳知り顔で友人に言ったことがある。
ミロンガがここへ移転したのは、今年の2月とのこと。
創業は昭和28年。ラドリオより1年早い。
ファサードは煉瓦だが、どうやら新しいもののような気がする。
しかし、上の部分はまぎれもなく昔のまま。
女の子がたくさん入っていた。
隣の「鶴谷洋服店」は昔のままだが、もう、やっていないのだろう、と思ったら、これもネットで、「(元)鶴谷洋服店」という名前で、「金・土・日・祝日の午後営業」の雑貨屋として営業しているという。
たしかに、看板の頭には、「元」と小さく付け加えられた文字がある。
やられた。(笑)
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