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ナポレオン・ハント番外編『カリスマ』

こんにちは、架空書店「鹿書房」店主、伍月鹿です
本日はナポレオンハント番外編です

ナポレオンハントはこれまで書籍に限定してきました
しかし、全く意識していないところで出逢ってしまったナポレオンが面白かったので、番外編として採用させていただきました

ナポレオン・ハント

主旨
文芸作品の中に登場するナポレオンを記録します

目的
・楽しい
・ナポレオンのパブリックイメージを紐解けるかもしれません

ハント対象
・ナポレオンを題材にしてない文芸作品に記載されたナポレオン一世の名前やイメージ
・ナポレオンに関連して名前を残した同世代の人物(exミュラ、ネルソンなど)も含む

『カリスマ』

こちらは超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』の一編です
登場人物たちは近所の商店街に買い出しに向かいます。そのいつも使っている商店街が「ナポレオン商店街」という名称とのこと

ここまで来るとわたしのナポレオン引き寄せがすごいのか、ナポレオンの知名度がレベチなのかわからなくなってきました

というわけで、名前が使われた意味を深掘りしてみようと思います

◇カリスマとは

超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』とは
キングレコードの内部レーベルEVILLINERECORDSとDazed Co.,LTD.が手がける二次元キャラクタープロジェクト
原作者さんがアニメ『銀魂』や『おそ松さん』の脚本を書かれている方、といえばオタクならば雰囲気にピンとくるものがあるのではないでしょうか
また以前の記事でも少し触れましたが、楽曲制作の部分ではヒプノシスマイクというキャラクターラッププロジェクトを手がけているレーベルのため、そのクオリティや世界観はお墨付き
カリスマは本編であるミニドラマがすべてYouTubeで見ることができ、その他、リアルイベントや生放送、舞台化などで活動を追うことができるようです

ストーリーは、とあるシェアハウスに集められた7人のカリスマ
彼らは集まった意味も、共に暮らす意味もよくわかっていないまま、共同生活を始めます
そんな彼らの様子をちょっと覗いてみない? というのがコンセプトのようです

7人の登場人物は皆「〇〇のカリスマ」と紹介され、カリスマらしい唯一無二と自己中心的思考で周囲を振りまわしていきます
そんな個性の塊の7人が一緒に暮らしていて、なにも起こらないはずもなく、というわちゃわちゃが楽しめるのがカリスマの魅力
イケメンたちがわちゃわちゃしてるのを嫌いなオタクはいない(過言)

また、本編が5分から10分程度のミニドラマであることから、画面の演出はありつつも大半が声優さんの演技のみで構成されている本編なこともあり、細かなところは見ている我々の妄想で補う必要があります
そんな自由さと好奇心が刺激されるゆるさもオタク心に火をつけますね

◇ピカソ

さて、ナポレオンハントに話が戻って、まずはヒントになりそうな話から
現在の本編の中で、偉人の名前が使用されている場面はもう一つだけあります

こちらのストーリーの中で、「ピカソ」というワードが登場します
実はこのピカソ、正体が語られることはないのですが、話の文脈やその後のストーリーから、
児童養護施設、または身寄りの無い子供のための施設の名前だと推測されています

つまりカリスマのシナリオ内では、建物や施設の名称を「有名な偉人」、または「カリスマ的人物」で統一するつもりなのでは、ということが想像できますね(そもそもあんまり固有名詞が出てこないので、その設定自体があまり活かされていないのが創作あるあるでちょっと好き)

ピカソとは当然、パブロ・ピカソから取ったのでしょう
1881年生まれの著名な画家のひとり
キュビスムという現代美術の形を作り、いまもなお影響を残り続けている作家ですね
彼を〇〇のカリスマと表現するのであれば「芸術のカリスマ」または「キュビスムのカリスマ」あたりがいいのでしょうか?

芸術には疎いので詳しい話はできませんが、様々な作風があった彼も、『泣く女』のイメージだけで語られることが多いイメージ
ナポレオンハントの主旨ともつながりますが、パブリックイメージって本当に不思議

◇ナポレオンは何のカリスマ?

さて、話をナポレオンに戻しましょう
ピカソがカリスマであることは疑いようのないことであることから、ナポレオンも何らかのカリスマであると制作者は考えたと推測できます
では、彼は何のカリスマなのでしょう

そもそもカリスマとは「一部の人々が持つ、他の人々を引きつけ感銘を与える強力な個人の性質」だそうです

そう考えると、指導者としても軍人としても優秀で、国民や兵からも人気が高く、周囲に担ぎ上げられるような形で上へと上り詰めていったナポレオンはカリスマと称するにふさわしい存在ですね
ボナパルティズムという言葉もあるように、周囲がほっとかない影響力は間違いなくナポレオンの魅力

そして、その豊富な魅力故に、彼を一言で表現するのは非常に難しい

いくつか候補を出してみたので、ぜひ、皆さんも当てはまりそうな言葉を考えてみてください

◆ 改革のカリスマ

ナポレオン法典を作ったことや、革命を終わらせたイメージが、世界史授業の影響で強く抱いている方も多いと思います
パリの街を整備したことや、美術館、凱旋門などを作り、現在にも残るパリの風景を作ったことも印象深いですね

ヨーロッパを巻き込んだ「ナポレオン戦争」が各国に残した影響も大きい
周辺諸国に自国への愛国心を強めさせる理由にもなった、というエピソードが個人的に好きです

◆ 軍事のカリスマ、指導のカリスマ

当時のヨーロッパでは最強の名をほしいままにしたナポレオン軍
彼の指導力は現在様々なビジネス書でも引用され、そのリーダーシップを見習おうとする人も多いでしょう
ナポレオンは自身が臆病であることを認め「私は何事も最悪の事態を想定することから始める」と常日頃から言っていました
リスクを背負い、最善を尽くす姿が時代を動かしたことから、いまでも理想のリーダー像として扱われているようです

また兵士や将軍は勇敢であることを何よりも大事だと主張している姿も
そんな彼に認められるため、将校たちは常に戦場でも先頭に立ち、敵に果敢に立ち向かっていきました

◆ 可能のカリスマ、実現のカリスマ

ナポレオンといえば「我輩の辞書に不可能の文字はない」だと思います
インパクトのあるフレーズを最初に考えたかたはすごい。発祥は諸説あるようなのでご興味があるかたは是非調べてみてください

実際にナポレオンは似たような言葉を多用していたようで、一番近いのが「あなたは不可能と言ったがそれはフランス的ではない」というフレーズ
また、「やり遂げられるほどに難しいことはあり得ない」という言葉が気に入っていたようで、何事も「やればできる!」という考えだったそうです。一兵士が皇帝になれちゃった人が言うと説得力が違う

どうでしょうか。わたしはどれもしっくりきてません(笑)
いつか彼はこういう人間です! と納得できる紹介ができるようになる日が来るのでしょうか。ナポレオン研究は奥深くて楽しいです


◇蛇足

話は変わって、冒頭「買い出し」のストーリーの話もついでなので触れさせて下さい

登場する天堂天彦は「性のカリスマ」として、世界中にセクシーを広めるためのワールドセクシーアンバサダーを自称しているキャラクターです。(深く考えたら負け)
彼は身の回りのセクシーに敏感で、上記ストーリーは買い出しをする予定のアスパラガスに興奮してなかなか商店街に辿り着かない……というものなのですが
人気の話であることから、その後に発表された曲の中にも「野生の天彦の門と書いてアスパラガスと読むなんてセクシー」という歌詞がつくくらい彼の代名詞として語られています

ところで、北海道の中山峠には巨大なアスパラガスがあることを皆様はご存じでしょうか

https://www.hokkaido-np.co.jp/movies/detail/5818869802001/

そのモニュメントは北海道が日本アスパラ発祥の地であることから建てられたもの
大正時代に外国から持ち込まれたアスパラガスを初めて栽培し、缶詰として流通することに成功したことに関する記念碑が岩内町にも存在します

現在、アスパラガスの漢字表記は「竜髭菜」ですが、
当時の開拓使蔵版『西洋髭菜栽培法』ではアスパラガスを「野天門」と記載していたそうです

つまり、野生の天彦の門と書いてアスパラガスと読むなんて知っていることは教養の証拠でしかない
そしてそれらの知識にたどり着くのにも、それなりの予備知識が必要です(店主は巨大アスパラを見たことがあるので結びつけられました)

わたしが細々と続けているナポレオンハントしかり、ちょっとした知識があると世界が鮮明に見えるのって、とてもセクシー

実は、そういう話をしたいだけのnoteだったかもしれません(笑)

触れるもの触れるものにナポレオンの名前を見つけすぎて、ちょっと怖くなってきました。本当に偶然に出会っているので、物や人の間に生まれる縁って不思議ですね

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