保育士の想いは重いのです
ひとり一人の輝きを見つめて
保育士になり20年は経過しただろうか。保育士人生で初めて会った子ども達が、成人していることに素直に驚く。
日々、保育園では様々なことが起こるが、「○○ちゃん、こんなこと出来たんですよ~。」と、自分のことのように嬉しそうに話す先生達。時には、「こんなことがあって…どうすれば良いかなぁ。」と、子どもの姿に心を痛め真剣に悩んでいる。
家庭での育児もそうだが、「人を育てる」というのは正解がなく、マニュアルもなく、難しい。子ども一人ひとりが違う人であって、みんな違ってみんないい。
その人がその人らしく生き、生きているって素晴らしいと生き生きとしている。そんな風に人生を歩めるよう、一人ひとりの輝きを見つめているのだ。真摯に。情熱を持って。
ある時、先生が会話の中で笑いながら言った。「想いは重いのです。」と。私たちの想いを言葉にして伝えることで、まっさらな子どもの価値観をいかようにも導いていける。結婚だったり出産だったりと同様に、この出会いや一言が人生を変えてしまうかもしれない。
人と向き合っていくということは、その人の人生の一部になる責任を担っている。重責である。
先日、3年前に卒園したお子さんの保護者の方から、小学校でリレーの選手に選ばれた話を聞いた。「嬉しくって、○○先生に教えたい!」と言ってくれたようだ。保育士として何よりも嬉しく、それを伝えてくださったお母様にも、「仲間」のように励まされる思いがした。3年経っても伝えたいと思ってもらえるなんて!
重責だけど、やっぱり素晴らしい仕事だなと改めて思う。真摯に向き合っていることで、子ども達に伝わっている想いは絶対にあるんだ。
20年経っても、私も答えを持っている訳ではない。悩むこともある。ましてや、その時の世の中の情勢によって教育方針も見直されていく。
今月9日に国連から教育に関する内容の提言がなされた。子どもは世界の未来をつくっていく。日本は子どもの育ちについて、もっと議論し、見直しをすべき時が来ているのだ。
「生きてるに値するこの素晴らしい世界」に目をキラキラさせる大人がいて、そんな姿を見ている子ども達がいて。
大人みんなで子ども達を思い、真摯に向き合い、ベストを目指していく。時には子どもに教えられ、共に育ち合い、響き合い、ベストを目指していく。
保育園だけの話ではなく、日本がそんなワンチームでありたい。