『百花』との出会い
昨年の夏、その日の私は「何か」を強く求めていた。心の隅にある空白。それを埋めるものが何なのか街を彷徨う。雑貨店、文房具店、食料品店、花屋。大好きなコーヒーショップから漂う薫りに心惹かれたのも一瞬。私の答えが見つかったのは本屋の前に立った時だった。
「そうか、本との出会いを求めていたのか。」
日々追われ忘れていた、「読みたい」感覚が甦ってくる。店内で歩みを進める度に、夢中で本を読んでいた昔の自分に一歩また一歩と帰っていく。何冊の本を手にし、棚に戻しただろうか。運命の出会いを渇望