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面白い鳥の生態、続々


 国立科学博物館で開催されている「特別展 鳥」について、趣向を凝らした展示方法が楽しいと投稿したばかりだが、もうひとつ、科学博物館ならではの、生態についても少し触れていきたい。

キツツキの巣作り、木にダメージは?

 昔から、キツツキが巣を作っている様子を見ると、木にダメージを与えていないのかな、木がダメになってしまわないのかな、と思うことがあった。木が枯れていないのだから、さほどダメージを与えているわけでもないのだろう、穴もそんなに大きく開けるわけではないだそうし、と勝手に解釈をしていた。それでも何となく気になる事柄ではあったのだが。
 今回、やっと判明した。木にダメージはないのだそうだ。正確にいうと、キツツキは弱った木に巣を作っているのだそう。そのため、林業に携わる人たちからは、虫にやられた木を教えてくれるありがたい存在でもあり、むしろ重宝されているのだとか。
 せっかく作った巣だというのに、1回しか使わないのだという。もったいない!でも、古くなった巣は自分たちで穴を掘れない、シジュウカラやムクドリといった鳥類や、リスやモモンガといった動物たちの巣となるのだそう。意外とリサイクル。

日本のキツツキのなかで最大の体長45~55センチ。
動物の生態イラストで人気のぬまがさワタリさんのイラスト解説。
かわいく、楽しく、わかりやすく解説されていた。

キーウィのお母さんは大変だ!

 鳥の卵の大きさは、ほぼ体重に比例しているのだという。大きな鳥は大きな卵を産むし、小さな鳥は小さな卵を産む。そりゃ、当然でしょう、そうじゃなくては、産めないもの。そう思っていたのだが、例外があるという。
 キーウィはニュージーランドの固有種で走鳥類の仲間だ。同じ走鳥類としてはダチョウやエミューなどがいる。いずれも南半球に分布する大型の飛べない鳥だが、キーウィは嘴を含む体長35~45センチと小型。だが、卵は別格級の大きさで11cm、500gを超える。体との比較でいうと、ニワトリの6倍で、体重の1/4~1/6にもなるというから、産むときは大変そうだ。

キウイフルーツは中国原産なんだそう。ニュージーランドで品種改良され、アメリカに出荷する際にニュージーランドのシンボルで国鳥でもある「キーウィ」にちなみ「キウイフルーツ」と命名されたのだとか。知らなかった!

意外と共存共栄でバランスをとる?

 たとえば、他の鳥の巣に自分の卵を産んで雛を育てさせる托卵の習性をもつことで知られるカッコウ。托卵される身からすれば、自分が苦労して(?)産んだ卵を捨てられるのだから、たまったものではない。だいたい種が滅びないのだろうかと思っていたら、やられるほうも黙ってはいない。
 卵の色や模様を厳しく判断できるように進化を遂げており、自分の産んだ卵ではないと判断したら巣から落としてしまう方法があるという。次に困るのはカッコウのほう。そこでカッコウもまたそっくりな卵を産むようになり、托卵された側はさらに高度な…とお互いに進化し続けているのだという。おかげで意外とバランスはとれているのだとか。
 こうした識別能力の他に、卵の上に新たに巣を作って自分の卵を含めすべて埋めてしまい、新たに産卵し直したり、他の場所に改めて巣を作って最初からやり直すこともあるという。

人間の目で見ても騙されそう…。

夫婦になり損ねた鳥?

 おしどり夫婦という言葉があるように、オシドリだけが一生を同じつがい関係を持つのかと思っていたら、鳥類の大半が一夫一婦制のつがい関係をもつのだそう。
 しかし「夫婦になれなかった鳥はどうなるか」という疑問が残る。人間なら性格の合わない人と一緒になっても続かないし、逆にストレスにもなる。いっそ独身でいたほうが…。鳥の世界はどうなっているのだろう。
 どうやら、雌にとって「いいな」と思った雄はすでに誰かの奥さんで、残っているのは力の弱い雄か不健康な雄など、不本意な相手。仕方なく一緒になったものの、やはり優れた遺伝子を残したい…ということで、自分の夫以外の雄と交尾関係を持つことがあるのだそうだ。DNA鑑定ができるようになった1990年代以降の調べでは、ヒナの数%~40%がつがい(夫)以外の雄との間に生まれた子なんだとか。
 子孫繁栄のためとはいえ、トホホというべきか、たくましいというべきか…なんか複雑。

近くの川で撮影。足先が黄色だからコサギか。
同じ川で撮影。こちらはアオサギ?

サギは賢い?

 移住した先では、自宅から少し行くと川が流れている。そこを散歩していると、よくアオサギやコサギと思しき鳥を見かけることがある。何かいないかなぁという感じで川面をジーっと眺めてる姿はなんともかわいらしい。
 サギは獲物を捕らえる際に様々なテクニックを使うという。なかでもコサギは足指だけが黄色く目立つ。その足先を水中でサワサワサワと揺らしたり、水底の泥を振動させたりして獲物を追い出して捕獲するテクニックを持つのだそう。ササゴイは、昆虫やパンくずを水面に投げ落とし、近寄ってきた魚を捕らえたりするそう。時に葉や羽毛といった疑似餌を使うこともあるそうで、これは人間の真似たと思われる行動なのだそう。コサギらしき鳥は見かけるので、今度足先を良く観察してみよう。
 ほかにも、鳥は目が固定されていて動かないため首を動かすとか、鳥にも方言がある(生息地により、同じ鳥でも若干鳴き声が違う)など、興味深いことがたくさんで、昼前には会場にいたはずなのに、気づけば閉館時間の放送が流れ…。あっという間の半日だった。


 

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