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【ご報告】代表就任から3年、違和感をおざなりにせず進む

気づけば2024年も年の瀬。今年も残りわずかとなりました。
代表に選任いただいたのは2022年2月。2代目代表となってから、来年2月で丸3年が経とうとしています。

  • 急に代表を引き継ぐこととなり、わけがわからないまま、がむしゃらに目の前のことに食らいついた1年目

  • 組織の課題を洗い出し、永く強く続く組織を作るための体制作りに注力した2年目

  • "自立"をゴールとして、子ども達にも、彼らを取り巻く環境に対しても、新たな試みに多数挑戦した3年目

時をさかのぼること、12年前。

衣食住、教育、愛情…何の不自由もなく生きてきて、明日が来ることなんて"当たり前"だと思っていた19歳の私。

ひょんなことがきっかけで、初海外・カンボジアに旅行へ。

生まれた環境が違うだけで、心身を傷つけられ、未来が閉ざされてしまう子ども達がいることに強烈な"違和感"を覚え、生きることは"当たり前"ではないということを知りました。

カンボジアでの1枚

そして「子どもたちの無垢さは聖なるものであり、その無垢さを守りたい」と心に決めました。それからご縁あってモヨに出会いました。

母親に見捨てられ、路上を彷徨い、寂しそうにうつろな目を浮かべる子どもたち。

彼らがモヨにきて、ご飯をモリモリ食べ、ノリノリで歌を歌ったり踊ったり、「あいつに殴られた!」と泣きながら怒っていると思ったら30分後にはまた仲良くじゃれあっていたり…。

つい先日まで路上を彷徨っていた子どもが、無邪気に笑い、元気に走り回っている光景を見て、モヨが在る意味を感じています。

(写真左)警察に保護された日
(写真右)モヨに入居し、学校に入学初日

12年前に抱いた"違和感"をおざなりにせず、しぶとく向き合い続けてよかったと少しだけ胸を張ることができます。

たくさんの方々に支えていただき、なんとか今日も活動を継続することができています。ありがとうございます。

2024年が終わる前に、日頃から支えてくださる皆さまに感謝をお伝えするとともに、今年取り組んだことの一部をここに綴りたいと思います。

  • ケニアで「ダメ、ゼッタイ。」 薬物乱用防止啓発プログラム

  • 「親の役割」について話し合う・ファミリーメンターシッププログラム

  • 生きる力を養うお話し会・メンターシップトーク

  • 学費支援の対象条件の拡大

どれも初めての試み。普段の子ども達との関わりを通じて必要に感じたことを詰め込んだ内容です。

どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。

彼らの笑顔はいつも心に深く沁み渡ります
何度見てもなぜか泣きそうになる1枚

1. ケニアで「ダメ、ゼッタイ。」
薬物乱用防止啓発プログラム始動

薬物依存の子ども達のための更生施設を運営しているマゴゴニ地域の子ども達を対象とし、地域で薬物防止啓発活動を行う新たな試み。

◉ゴール:薬物乱用の危険性について子どもたちの意識を高める
◉対象:マゴゴニ地域に暮らす10歳〜18歳の子ども
◉予定:
・8月21日:第1回プログラム実施
・11月15日:フォローアップDayで理解度を個別ヒアリング
・12月6日:第2回プログラム実施(理解度ヒアリングを踏まえた内容で、第1回と同じ対象者実施)

第1回の様子

プログラム開始前後に同じ対象者にヒアリングした「薬物乱用について意識することがあるか?」という質問には、大きな変化がありました。

・強く意識している:0% → 85.1%
・意識している:17% → 8.5%
・あまり意識していない:31.9% → 4.3%
・意識していない:51.1% → 2.1%

その他のヒアリング結果も含めて、今回の取り組みが「薬物への意識を高める」ことに貢献したことを確信できる試みとなりました。

また、マゴゴニ地域を歩いていると「うちの子どもが修了証書を持って帰ってきたよ!いい取り組みだね!これからも続けてね!」と声をかけられることも多々あり、コミュニティ全体でよい波及が広がっていることも感じています。

今回の開催を通して、モヨの施設内に地域の子ども達を受け入れるのは人数の限界があることや、参加を呼びかけるときに保護者との連絡がつかず苦戦したこと、次回に向けての改善点も多々見えてきました。

今後は私たち自身が、地域の学校に訪問しプログラムを実施する方針にしつつ、継続的に取り組んでまいります。

第2回を終えて修了証書をお渡ししました

2. 「親の役割」について話し合う
ファミリーメンターシッププログラム始動

モヨで暮らす子どもたちが将来的に親族の元に返れるよう、卒業先探しに注力してきたこの1年。

ソーシャルワーカーたちの根気強い社会調査によって、今まで見つけられなかった親族と連絡が取れるようになり、今後子どもを引き取れるのか否かの話し合いに進めるケースも多々ありました。

しかし、親族とのやりとりの中で下記のような発言があり、愕然としました。

  • なぜ子どもを働かせてはいけないの?

  • 子どもが言うこと聞かなかったら、叩いてわからせればいいのよ!

  • モヨが子どもを18歳までみてくれるじゃないの?

  • うちの子は13歳なんだから中学校に入学させてよ!(今まで学校に行けず識字ができないのに年齢相応の学年に入学させたい親族)など…

私たちと彼らにとっての"育児"は全く違うのだということを痛感。
「育児や教育」に関する根本的な理解が適切ではないこと、モヨの運営方針や役割を誤解していることなど、保護者との関わりに大きな課題を感じていました。そんな経験を通じて「ファミリーメンターシッププログラム(保護者会)」を開催することにしました。

第2回の様子

子どものケアを押し付け合うのではなく、保護者、モヨ、児童局が、子どもの未来を守るために一丸となって協力体制を築き上げていくために、とても良いきっかけづくりになっていると思います。

今回の反省を活かして、よりよいイベントづくりへと改善をしながら、年3回開催の実施を継続していく予定です。

3. 生きる力を養うお話し会
メンターシップトーク始動

ケニアの学校は3学期制。
普段、毎日学校に行っている子ども達ですが、長期休み中はモヨの施設内で多くの時間を過ごすこととなります。

そこで、長期休みを利用して「メンターシップトーク」という週例イベントを実行することにしました。

モヨでいう「メンターシップトーク」を日本語に訳すと「生きる力を養うおしゃべり会」です。

彼らに伝えたいことを厳選し下記の4つのトピックを話しました。

① 性教育(Sexuality Education)
② キャリアガイダンス(Career Guidance)
③ 自分を知ること(Self Awareness)
④ モヨ卒業までのステップ(Reintegration)

日々スタッフとケアプランを話す上で、課題に感じることを詰め込んだトピック。

性教育

性に関する正しい知識がないまま「ダメなこと」として抑えつけ、彼らの本当の気持ちや実情を無視したら、彼らを加害者にしてしまう可能性もあります。
「ダメなこと」ではなく「大事な人を大切にできるジェントルマンになろう!」ということを伝えたかった 『性教育』。

キャリアガイダンス

「将来の夢は?」と聞くと「エンジニア!」と答える子がほとんど。しかし、そもそもエンジニアって何をする人かわからず、響きがかっこいいから言っている様子。
「世の中には様々な仕事がある、生き方は自分で決めるんだ」ということを伝えたかった『キャリアガイダンス』。

自分を知ること

小さい時から愛を感じられず、路上で通行人に乞うて行き、心身ともに暴力を受け、劣等感と闘いながら必死に生きてきた彼ら。
「自分の強み・弱み」を考え、自分を肯定し、より輝いてほしいと願いを込めた『自分を知ること』。

モヨ卒業までのステップ

モヨを入居してから卒業するまでの期間は、子どもの生活背景によって様々。
「なんであの子は卒業したのに、ぼくはまだモヨにいるの?」そんな疑問を投げかけてくれる子ども達。
親族を探しにいく時や、親族がモヨに訪問しにきたときなど、折に触れてひとりひとりの子ども達に「モヨ入居〜卒業までの流れ」を説明してきました。
この機会を借りて改めて、子ども達全員に説明し、安心感を得てほしいと思いを込めた『モヨ卒業までのステップ』。

年長チームへの性教育の様子

今回の実施内容を振り返りつつ、子どもたちが生活的・精神的・性的、経済的に自立できるよう、これからも継続的に向き合い続けていきたいと思います。

そして、私たちスタッフが「よきお兄ちゃん・お姉ちゃん」的な存在となり、彼らが「生きるための力」を適切に養うことができるよう、今後も長期休みを有効活用してまいります。

4. 学費支援の対象条件の拡大

これまでモヨの学費支援は、高校生のみを対象としていましたが、2025年からは小学生・中学生も対象とする予定で動いています。(いずれにしてもモヨ入居歴がある子に限ります)

ケニアは「初等教育無償」とされています。しかし、実情は家庭の経済的な理由で公立小学校に通えない子どもも少なくありません。
なぜなら、入学費・制服・試験受験費用・アクティビティ費用・セキュリティ費用・筆記用具など学校にいく上で必要な費用が年間約10,000円かかるからです。

モヨに暮らす子どもの家庭環境を丁寧に調べていくと、将来子どもの保護者となれる可能性のある親族(祖父母、叔父叔母など)を見つけられることもあります。
ただ、その保護者も「子どもを育てたいという気持ちがないわけではない、でも衣食住を賄うのに精一杯で、それ以上のお金を捻出するのは難しい」という悩みを抱えています。

しかし「〇〇がないから〇〇ができない」という後ろ向きな考え方でケアプランを考えるのではなく「あるものを使って補い合う」という視点を大切にしていきたいと思っています。

子どもを引き取ることに対して少しでも前向きな気持ちがあるのであれば、保護者のもとに子どもを返し、学費支援などのそれぞれのケースに応じて必要な介入をしていきます。

子どもがモヨ以外にも頼ることができる場所を見つけられることが”自立”への大きな一歩につながると信じて。

現在高校の学費を支援している4名から感謝状をもらいました
(支援対象は合計5名います)

活動を支え続けてくださる皆さまから力をいただいて、2024年を走り切ることができそうです。
改めて、いつも本当にありがとうございます。

2025年は、モヨの活動をもっと多くの方々に知っていただき、団体継続力を強化なものにしていけるよう、認知拡大にも力を入れていきたいと思っています。

罪のない無垢な子ども達の毎日を創り、明日が来るかを不安に思わず生きていくことができるよう、これからもモヨ・チルドレン・センターを続けていきます。

スタッフたちがいてくれるからこその活動です

5. さいごに

最後までお読みくださった皆さまにお願いがございます。

モヨを続けていくためには、現在日本の皆さまのご寄付が必要不可欠となります。

目の前に助けを必要としている子どもがいても、
「子ども達の無垢さを守りたい」と熱い思いがあっても、
優秀でやる気に溢れたスタッフがいてくれていたとしても、
正直、お金がなくては、何もできません。

今後も継続的に運営していくことができるよう、どうかどうか一人でも多くの方にご支援いただけますと幸いです。

月1,000円〜継続的に活動をご支援いただけるマンスリーサポーターにぜひご登録をいただければ幸いです。

マンスリーサポーターの皆さまには毎月15日に私から活動報告のメールを送らせていただいており、モヨの活動をより近くに感じていただけます。

マンスリーサポーターはこちらからご登録をお願いいたします。
https://congrant.com/credit/form?project_id=4262

今回限りの単発のご寄付も受け付けております。
https://congrant.com/project/moyochildrencentre/4257

皆さまの温かいご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。

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