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虫と安倍晴明と医学

 昔から何気なく使ってる言葉がある。

“腹の虫が鳴いてる”とか

“虫の居所が悪い”とか

“虫の知らせ”とか

そもそも何で“虫”なんだろうか?

僕の無知がゆえ、知らないだけかも知れないので調べてみました。
ちょっとした知識の旅の始まりです。

 これはかなり昔の話。
まだ医学が発展していない時代。
人が病気になると、その原因はウィルスとか、何かの栄養が足りないとかでは無く、別の原因であると人々は信じていました。

それは疫鬼(えきき)。
つまり“鬼”によるものだと考えられていました。

なのでこの頃は、病気になると患者を治すのは医師ではなく、祈祷師でした。

病人に対して祈祷師がお祈りをして、鬼を祓うといった治療でした。

ちなみにこの時期に活躍していた祈祷師が、安倍晴明である。

安倍晴明って陰陽師とか式神使いとか色んな伝説が残ってたりして、ゲーム等にも登場したりしますが、これくらいの時期に活躍した人だったんですね。

病人の枕元でお祈りされても、とても治るとは思いませんが、そもそも“医学”というもの自体が知られてませんでした。

 この時期にも西洋医学を学んでる人も居ましたが、人々は病気の原因が鬼の仕業と信じていたので、医学の入る余地はありません。

何せ原因の鬼に対して医師は何も出来ない。
鬼に対抗できるのは祈祷師しか居ないという考え方が人々に定着しているからだ。

 医学を学んだ人は、自分達が学んだ知識が全く活かせない事に困り、どうしたら良いか分かりませんでした。

そこで医師達が考えたのが“虫”である。
ここで言う虫は、昆虫とかでは無く、邪悪な蟲であり、医師達が想像で描いた虫の絵があり、かなり毒々しい姿である。
病気の原因は、身体の中に居る虫のせいで有るという説を唱えました。

ここを読んで「何でウィルスじゃないんだ」と思うかも知れませんが、ウィルスの発見はまだ後の話。

僕の想像ですが、おそらく酷い風邪なんかもあって、自然治癒もあったと思いますが、人々は祈祷師がお祓いをする事で実際に治ったと思っていたと思います。

そこで医師達が虫を選んだのは、邪悪な虫なら祈祷師がお祓いする事で、祓えることも出来そうです。

それでありながら、虫なら特殊な能力を持っている祈祷師ではなく、人にもどうにか出来そうという想像が、何となく出来ます。

つまり、祈祷師のやってる事を全く否定してしまうと、人々に受け入れてもらえない可能性があります。

実際に病気が治った人も居てる(自然治癒力の可能性)ので、祈祷師がお祓いが信じられていた所、祈祷師でも祓えて、普通の人でも対抗出来そうな虫を選んだのだと思います。

 この考えは徐々に広まりながらも、他の要因も虫の仕業とされました。
実際に有るけど、原因の分からないものも虫の仕業とされました。

お腹がぐぅ~ってなるのも、腹の虫が鳴いてるとされました。

その頃の名残で、今でも例えで“虫”が使われているそうです。

 医師のイメチェン作戦が、未だに名残があるのは凄いですね。

 “実際にあるけど原因の分からない事を虫の仕業にしてた”と書きましたが、知るはずの無いことに気が付く“虫の知らせ”は、本当に何なんでしょうね。

 以上、知識の旅日記でした。


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紀良京佑
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