魂のリフレイン
丘の上にある少し古びたマンションの軒先に猫がエジプト座りで休んでいた。
近づいても動じず、ここの住民票を取得してるかの様で、貫禄がある。
猫「アタイね、食事はご主人から貰ってるけどさ、住民税払ってるのよ。巷に癒しという還元をね。アンタは、社会貢献してる?」と言われた気がした。
スティーブ(勝手に名付けた)に痛い所をつかれ、特にコレといって社会貢献はしてない。かろうじて義務の納税くらいっす、スティーブ先輩。
情けないが、今まで何も成し遂げていないし、コレ!!って胸を張って全力で取り組んだ事がない。
全力どころか、この数年間は、堕落の一途を辿っているかのような日々だった。
音楽活動していた20代は、ワーキングプアだったけど、やりたいことに溢れて楽しかった。
悩みで悲観的になることもあったけども魅力になる必要な要素として悦に入ってたと思う。
それが、ここ5年間くらいは、生活水準として潤っていたにも関わらず、だんだんと毎日が楽しくなくなっていった。
別に会社がブラックでもないし、むしろホワイト、人間関係も良好、風通しも良かった。
ただ、中学二年生でもこなせるルーティン業務で充実感、達成感は皆無だった。
その分、休みのプライベートで楽しめばいいじゃん、と思うかもしれないが、何もやる気が起きなかった。
テレビ、映画、買い物、音楽、読書、何をしても温もりを感じず、なんか人生に食傷気味だった。
自己嫌悪の日々で放置してると枯渇しそうだったので、刺激を求め、環境を変えたく10年勤めた会社を辞めた。
そんな楽しいこと探しの時に、友達に誘われて運動不足のために参加したバスケ。
このnoteにも書いたけど、捻挫をしてしまい、体力がない自分にショック過ぎてランニングを始めた。
その捻挫から毎日続けて、2ヶ月半経過の今は、4kmの距離を走っている。
初日、1.4km完走を目指し、スタートしたけど、マジきちぃ。すぐに立ち止まって呼吸を整えてしまう。
そんな辛くて立ち止まりそうな時は、過去の自分と重ね、何度も何度も負けない!!負けない!!負けない!!と心の中で叫んで走った。
そんな気持ちで続けた成果か、2週間程すると立ち止まることはなくなり、少し距離を伸ばす欲も。
3週間目から2.6kmに。
1ヶ月後には、4kmと進化した。
仕事(転職先)の日だろうが、休日だろうが、雨風だろうが、酷暑だろうが、ストレスで胃がキューっとなろうが、二日酔いだろうが、お盆で帰省しようが、風邪気味だろうが、毎日続けてきた。
ただただ毎日何かを継続させたかった。
他人と比べてばかりの自分を変えたかった。
不思議と食事にも変化が訪れた。
走る前のだらしない生活といえば、週に3、4は昼に菓子パンかコンビニおにぎりとカップラーメン、お菓子も3日に1回は食べていたかな。
それが、ランニング開始から菓子パン、カップラーメンは全く食べなくなり、お菓子は週末だけ、転職した仕事先では、お弁当を持参して。
そして、台風一過の今日も決まった4kmルートの道を魂のリフレインで走ってきた。
ランニングしている同志たちとすれ違う時には、実業団の人?って思わせるような感じでスピードアップ。
あっ、また人と比べてる、、。
夕方でも蒸してるアスファルト、蝉の行進の並木道を抜けたら、まだまだ夏は終わらないと遠くに見えた入道雲が教えてくれた。