突然米がなくなったって、どういうこと?
こちらに住んでみて、初めて玄米を「精米」するということを経験した。西宮にすんでいたそれまでは、米は精米済みのものをスーパーで買うものだった。
地元の農家さん(営農組合)から、玄米を30kg購入して、それを5kgづつその辺の精米機で精米して使う。「お米は精米して食べるものだぞ!」と主張しているかのように、いたる所に精米機があるのは、ちょっとした驚きだ。
いずれにしても、とにかく精米したての米はうまい!!
美味しいお米が食べられるのは、こちらに引っ越してきて本当によかったことだとつくづく感じる。
1年に一度農家さんから購入する30kgの玄米が、先日なくなった。
私が働いている頃は家での米の消費量は1年に一度の購入で足りたのだが、私が退職して家にいるようになると、それでは足りなくなった。なんといっても、従来の朝食に加えて、昼食は米、米、麺のサイクル、さらに私はお米が大好きなので大量にくらう。
農家さんからの購入できるのは、1年に一度だけなので無くなると町内にあるお米屋さんから購入する。当然ながら、ほぼ同額で購入できる。
買い物の帰りに、お米屋さんに立ち寄ると扉に「米不足のため、5kgまでの販売とさせてもらいます。」との張り紙が貼られていた。
私「〇〇さん、いきなりこれってどういうこと?」
米「全国的に米不足で、米が入ってきいへんねん。どうも、昨年の猛暑での不作
や、コロナ終息後の需要増加なんかが原因みたいや。」
私「猛暑での不作は、収穫した時点でわかっとったんとちやうん。」
米「それやねん!政府は大丈夫やと思っていたようやねん。それどころか彼らは
今でも問題ないと主張してるねんで!!」
私「現実に米ないんやろ….、意味わからんなぁ。」
米「政府備蓄米が100万トンあるねんけど。そこからも出す気はないらしい。」
こんなお米屋さんの苦情を散々聞かされたのちに、町内会だからということで、10kgの米を分けてもらうことができた。ただし、いつもなら1kg300円ほどなのに今回は350円と、いつもより高かかった。
ちなみに、滅多に売れないような高額米ならいくらでもあるらしい。
「高いやつなら、いくらでもあんねんで!」
というお米屋さんの目は少し上目遣いだった気がする。
こんなことがあった約10日後の8月21日の朝日新聞朝刊の天声人語に、米不足のことが書かれていた。
基本的には町内のお米屋さんの言う通りだった。そして、さらに書かれていたのは、今回の問題の根本には、政府が「米を余らせないこと」ばかりに関心を寄せていることがあるらしい。
ギリギリの調整をしているので、ちょっとの環境変化に追従できずに米不足、というよりも需給の偏りが発生する。前もって予測していた供給者の元では、需要に足りるだけの米があるとのことだった。
需給のばらつきはあるものの、全体としては足りていると言うのが政府の主張なので、100万トンの政府備蓄米を市場に出す気もないのだ。
まっ、もう少しすると今年の新米が農家さんから配達されるので、それまでは今回購入した10kgでなんとかなりそうだ。また、世間では5kgが1000円以上値上がりしているところもあると言うのに、5kg250円の差で買えたのも、ありがたい。
少しはいなかに住んでいた恩恵があったのかもしれないと、サービスで精米までしてくれた10kgの米を車にのせて、家に帰ったのだった。