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「優先道路」だと思っていたら、実は「優先道路」ではなかった!

先日、知人が交通事故にあった。

知人の車が横転し大破したと聞いた時には大層心配したが、幸いにも知人は打撲程度で済んだ。きっと日頃の行いがよかったのだろう。

車同士の事故で、交差点での出会い頭の事故だ。一時停止のある交差点で相手の車が一時停止をせず、知人から向かって左側から交差点内に侵入し、一時停止のない道路を直進中の知人の車の左後ろに突っ込んだ、というもの。双方の道路に中央線は引かれておらず、幅員の差もほとんどなかった。

一般的には、追突以外では動いている以上、過失ゼロにはならないとは言われるが、今回のケースは明らかに相手は一時停止を怠っており、その過失責任は大きい。もしかすると知人の過失責任はゼロではないか、と言うのがこの話を聞いた時の私の印象だった。

先述の通り中央線は引かれておらず、幅員の差もそれほどなかったとは言え、なんと言っても相手は一時停止の道路、知人は一時停止をしなくていい道路なので、知人は「優先道路」を走っていたことになるはずだ。

ところが、この私の考えは間違っていた。

確かに知人が走っていたのが「優先道路」であれば、基本過失割合が10:90である優先道路上での事故に対して、相手の一時停止違反があるので、もしかすると0:100もあり得たかもしれない。

しかし、今回の場合は知人が走っていた道路は「優先道路」の定義に照らして、「優先道路」ではないらしい。

では、「優先道路」とはどんな道路を指すかと言うと、法律上は以下のように定義されている。

車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

道路交通法36条第2項より引用

したがって、今回知人が走行していた道路のように、「一時停止」がある道路に交差している道路が必ず「優先道路」と言うわけではないと言うことだ。

もっとも「優先性」という観点では、「一時停止」の有無や走行方向(左側が優先)などが考慮されるために、過失割合の決定においては「優先道路」か否か以外にも決定要素がいろいろとある。

今回の知人の事故を通じて「優先道路」の定義を知り、今までの道路の走り方を反省した。

自分が走っている道路と交差する道路に「一時停止」がある場合は、自分が走っている道路が「優先道路」と思って、(一時停止無視の車もあるので)少しは注意するものの、「こっちは優先道路だぞ!」とばかりに、ほとんど制限速度そのままで走っていた。

もしも、今回と同じ現場で、相手が一時停止したのちに交差点に侵入し、その結果事故になったとすると、「優先道路」という定義に基づく過失割合は無いので、「優先性」と言う点を加味した上での出会い頭の事故ということで過失割合が決定されることになるということだ。

もっとも、いずれにしても交通事故を発生させてしまうと、どちらが悪いと言う問題以前に、相手や自分が怪我でもしたら大変だし、たとえ無傷でもいろいろな手続きなどだけでも不要な時間を費やすことになる。

たとえ「優先道路」であっても、ましてや「優先性」が高いだけの道路では、慢心した走り方をすることなく、常に危険予知をして、安全運転に徹しないといけないと、改めて感じた知人の事故だった。

ちなみに、知人の過失割合は現時点では未定だが、0:100とはなりそうにないようだ。相手は一時停止をせずに交差点に突入し、知人の車の左後ろに突っ込んでいるにもかかわらず、自分に過失責任があることに知人は納得していない。

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