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君が見ていた夢を
「君が見ていた夢を」は、那州雪絵さんの「ここはグリーンウッド」の花とゆめコミックス版9巻に収録されているホラー漫画です。
ちなみに花とゆめコミックス版は廃版となったので、現在中古品しか入手出来ないようです。新装版には「君が見ていた夢を」は収録されていないのです。
多分、初めて読んだのは中学生の時でしょうか。不思議と印象深くて、コマ割りから台詞のひとつひとつまで鮮明に覚えていました。
(私は子供の頃から気に入った本や漫画を繰り返し何度も読むタイプです。なので、昔に読んだものでもせりふなどは結構正確に覚えています)
どうしても再読したくて、中古品を購入しました。
「おまつり山」と呼ばれる裏山に探検に行った男子小学生の拓人、淳也は、そこで奇妙な体験をします。おまつり山に祀られていた鬼が淳也に取り憑いたのです。
その結果淳也は不思議な力を得て、文武両道の高校生に成長しますが、鬼は次第に淳也の体を乗っ取ろうとします。
私がこの作品を再読して心に残ったのは、鬼は弱い心に取り憑くということです。
二人でおまつり山に行ったにも関わらず、鬼は淳也を目掛けて取り憑きました。
淳也の弱い心のはざまにある「もっと強くなりたい、拓人がいなくてもいじめられないくらい」という欲望に取り憑いたのですね。
物語の終盤、淳也は鬼の支配から逃れた一瞬の隙に鬼もろとも学校の屋上から飛び降ります。
鬼はとっさに淳也から離れて、眼の前にいた拓人に取り憑こうとします。
そこで拓人は「失せろー!」と叫びます。すると鬼は消えてしまいます。
そして物語は最後のモノローグへと繋がります。
「こんなに好きなのにこんなにわかりあえない、それは君と吾とがひとつでなくて、ひとりずつ別の人間なんだと気づいた時から始まるんだ」
このせりふは初めて読んだ時からすごく心に残っています。人との繋がりに関しての核心に迫るような台詞ですね。
どんなに相手を好きでも、生きている限り他人と自分とを分かつ境界線は確実に存在します。そんなことは当たり前だけど、結局我々はその境界線の線引きの加減に苦しみ、そこから生じる「わかりあえない」という感情に生涯向き合っていくものなんでしょうね。
よく「魔が差す」と言いますけれども、魔物は心の弱いところを狙ってやってくるのだと思います。
疲れていたり、悲しかったり、あるいは誰かを恨んだり羨んだりすると、魔が差してしまうことがあります。
でも、規則正しい生活をして体を鍛えると心も強くなるようです。実際に、スポーツマンや格闘家、ジムで筋トレしまくっているような人にはあんまり幽霊も取り憑かないようですよ。
なので私はせっせとダンスの練習をして、規則正しい生活を心掛けています。
おそらくは私は心が弱いから。
読んでいただきありがとうございました。
皆様の明日が佳い一日となることをお祈り申し上げます。