ボクのその言葉はボクとカノジョの間に結晶体になって浮かんだ。
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タイトルはハートカクテル(8)からの引用です。私が学生時分に愛読していてその世界観にどっぷりとハマったシリーズでした。
「わたせせいぞう」の色使いがたまらなく好きで、その次に詩のようなセリフが好きでした。今でも色々なセリフが溢れてくるし、物語の中で出てきた音楽はレコードで買って、全部聞きました。
当時、付き合っていた子が家に来てハートカクテルを何気なく読んでいた。理系の彼女は「結晶って…笑」その瞬間に僕の恋は終わった。
でもハマる人はハマるハズ!物語の主人公がキザなセリフにきっと酔いしれると思います。いつかは吐きたい甘いセリフもあるかもしれない。実際のシーンで使えた試しはないのだけれど。
大人の男女の…だけど手探り状態の心の駆け引きをリアルな描写で表現し、読み手の想像力を掻き立てさせてくれるのが「わたせせいぞう」作品の醍醐味です。
少女漫画やドラマのような恋愛とは少し違って深くて優しくさり気ない男女の愛であったり、円熟味のあるさまざまな愛情を読み取ることができます。
この「わたせせいぞう」の作品には人生に必要なエッセンスがぎゅっとつまっています。
今でもピッツァを家でよく作る。ジェーシーのようにサラミをのっけたやつだ。ビールはクァーズじゃなくてキリンだけど!
暖房もオイルヒーターが良いし、生活におけるすべての価値観が今でもスタイルを維持していることに驚きです。
とにかくアメリカに移住する20歳まではよく読みました。「ノルウェイの森の森」の村上春樹と共に自分の若かりし頃の記憶の中に鮮明に残っています。
こうしたコンテンツを基に自分のしたいこととか自分のストーリーが形作られたような気がします。
その「わたせせいぞう」の最新作であるワンダーカクテルも書籍化されています。15作品が収録されていまして、どれも1話ごとに読み切りの作品になっています。
どの回から読んでも心が温まるのが「ワンダーカクテル」の魅力のひとつです。もう癒しの領域です。ワンダーカクテルも読み手を惚れさせてしまう不思議な魅力があるんですよね。
人生の恋愛をビター&スイートに味わえます。
書籍化されたワンダーカクテルには、書き下ろしのイラストも収録されていてコレクターズとしても手に入れる価値があります!
独特の世界観をもつ「ハートカクテル」の舞台を現代に移して、繰り広げられる男と女のラブストーリーが見事に蘇ります。日本を代表するクリエイター「わたせせいぞう」が描く作品は再評価されるべき作品だと強く感じました。
バブル経済と共に日本は実態もなく成長していた80~90年代に一世風靡した作品「ハートカクテル」。大人の恋模様を描く甘く切ない、心の高揚をリアルな描写で描いた女と男の珠玉のラブストーリーには誰もが心打たれるのではないでしょうか。
作品を見たことがない現代を生きる若い世代にも知って欲しい一冊です。大人になっても人生楽しいんだよって。もちろんハートカクテルの魅力に酔いしれた大人たちも、「わたせせいぞう」が描く新しいワンダーカクテルに癒されてみませんか。
precious.jpで連載されているので要チェックです!