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本当に怖いことを悟る瞬間を成長という。不安のメカニズムを知る。
⌛この記事は 3.3 分でお読みいただけます。
Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。
今回はこちら、「本当に怖いこと」を悟ったときに出てくる力 『モチモチの木』です。
こちらの絵本の主人公の豆太は5歳の男の子です。うちの一番下の息子と変わらない年齢ということもあって重ね合わせて拝読させていただきました。
そもそもは小学3年生になる娘の宿題で朗読の課題があって考察を深めるきっかけとなったのです。
この物語の豆太は両親を亡くし、猟師の「じさま」と2人で暮らしています。死んだお父さんも、祖父である「じさま」も、とても勇敢な猟師だったのです。すいかし、豆太は女の子みたいに色白で夜一人で手洗いに行けないくらい人一倍に怖がりなんですよ。
この2人が住んでいる小屋の前には大きな木が立っていて、豆太はこれに「モチモチの木」という名前をつけました。
ある日、じさまは豆太に「モチモチの木に、火がともる」という話をするんです。じさまによるとモチモチの木に火がともるのは山の神様のお祭りで、それは夢みたいにきれいな光景だというのです。
しかし、そのきれいな光景を見るには勇気を持っていなくてはいけないのです。豆太は自分は臆病だから、とても見ることができないと残念がるのです。
私も人一倍臆病だったので、この豆太の気持ちはとてもよくわかりますね。小さな頃は幽霊が怖かったです。
今は目に見えないけど確かに存在している何かが怖いんだという恐怖の本質を理解しているから、対象が幽霊ではなく「人」に移り変わりました。
しかし、そういった「人」から嫌われるというのも恐怖の一つですよね。中学生くらいの時に、急に一人の同級生から嫌われて原因が分からなかったので、これも恐怖でした。
病気も恐怖です。なってしまえば腹も座って死生観を持つようにはなります。人間与えられた天命を毎日感謝しながら懸命に全うするだけです。
とはいえ、災難や不運、失敗することもありますし、トラブルなど、 私たちは様々なものを怖がって生きていますよね。
虫や動物を怖れたり、虫は単純に生理的に受け入れられない恐怖ですが、動物を恐れるというのは本質的には自然への畏れですね。
この絵本の「じさま」と同じハンターもやっておりますので、同じ気持ちを共有していると思っていて、それは動物と相対していると自分の本質と向き合っているような感覚に陥いるからです。
他にも高所恐怖症や先端恐怖症、高い場所ってなんなんでしょうね。自然に足がすくんでしまいますよね。
汚れを怖れる人、雷が怖い人など、他の人が怖れないものでも自分だけは怖い、ということもあります。おそらく「世の中で、一切怖いものがない」という人は、なかなかいないのではないかと思います。
私が知人に怖いと思うことについて話していた時に、「人に会えなくなるのが怖い。人がいなくなるのがイチバン怖い」 と言いました。
その知人は数ヵ月前に、奥さんを亡くされていたのです。大切な誰かがいなくなることは本当に怖いことです。
弱虫な豆太は、結果的に、モチモチの木に火がともった美しい光景をちゃんと、見ることができます。
そのとき、豆太は、闇夜やオバケよりも、もっとずっと怖いものの存在を知ったのです。勇気とは「怖くない」「怖がらない」ことではなく、もしかすると「もっとも怖いものに気づく」ということ、なのかもしれません。
自分の未来や孤独、あるいは自分の痛みだけを見つめているときは私たちの周りには怖いものしか見つかりません。
いつ来るかわからない災難とか大事なものを奪われる喪失とした拍子に私たちを捉える苦悩などから完全に自分を守ることはできはしないのです。
そして私たちは自分を守ろうとすればするほど危険に気づかされ恐怖に震えるのです。
しかし自分のことではなく、大切な誰かを守ろうとしたときに私たちは反転したように非常に勇敢になれることがあるのです。恐怖が消え去るわけではないのですが、なぜか 「動ける」ようになったことってないでしょうか。
つまりそれは、もっと大きな恐怖、すなわち大切な人を失う恐怖に強く打たれたときなど、そんな気持ちになったりするような気がするのです。
勇気とは、恐怖を感じないことではなく、「本当に怖いこと」を悟ったときに出てくる力なのだとその時に強く思いました。
この「本当に怖いことを悟った」状態を、豆太のおじい さんは「やさしさ」と呼んだのではないでしょうか。
この表現の美しさはまさに、火がともったモチモチの木の美しさそのもののように、感じられずにはいられません。
とても心地よい読了感をもたらしてくれる本でしたね。みなさんも機会があったら是非読んでみてくださいね。
それではまたお会いしましょう!
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