「林業不振の実態と再生への道」日本の山林を守る
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Hey! What's up people~!? 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をあなたにご紹介させていただきたいと思います。
今回はこちら、林業の危機的な衰退と山林の荒廃による自然破壊を、我々はどう食い止めればいいのか。日本の山林を取り巻く厳しい現状に迫るとともに、林業再生・自然環境保全に向けた提言を行う「日本の山林を守る/林業不振の実態と再生への道」です。
「国敗れて山河あり」戦火の中に生き残った日本の山河は、戦後の復興に大きな役割を果たしてきました。
山河は田畑と共に木材・食料を供給し、今日の繁栄の基礎を作ってきたわけですが、大企業による工場生産型住宅の増加によって、使いやすい外材の輸入が増加し、国産材の需給は18%台まで落ち込み、数十年丹精こめて育てた杉の良材でさえ、山元ではダイコン一本よりまだ安いタダ同然の現象も不思議ではなくなったそうなんです。
この事態は地球上に例が無いそうで、日本では太平洋戦争以後最大の事件であるにもかかわらず私たちのうちどれだけの人がそういった現実を知っているでしょうか。
当然山林の管理は放棄され、自然環境の破壊をもたらし、林業不振は関連産業の衰退と共に地域経済の破綻・農山村の過疎化を促進し、経済格差を生み、若者は結婚できず、日本の少子化現象の最大の原因となっているのです。
筆者は言います。
しかしこの国難とも言える大変な事態にも関わらず、大臣も役人もマスコミもそしてほとんどの人が『安い外材に押されて』の一言で片付けているのです。
「安い外材」という認識は全く間違っているのに、だれも真相を語らないし、知ろうともしないのです。
国産材の代表格である杉丸太はもう二十数年も前から、価格で外材に追いつかれ、十数年前頃には、ほとんどの外材から追い抜かれ、その差は逆に開いているのです。
国産材が売れない理由は別にあるのです。
本書では第一部でこの問題を「戦後最大のドキュメント」として捉え、広く深く真相を解明しています。
第二部では、著者が「みんなでやろう構造改革」を唱え、林業再生の方向を示し人々に勇気ある行動を促して、山河に再び春を蘇えらせる活動について解説しています。
筆者は構想12年の間にも、林業の情勢は悪くなるばかりで、材価は下がるばかりで、補助金で森林組合が、間伐の委託を受けて細々と続いているだけで、山主はもう意欲を喪失して、山の管理は放棄されて久しいのです。
国土の67%を占める森林・林業の壊滅的な不振は、過疎化・廃村・少子化・家庭崩壊・格差・地域経済の疲弊等の社会問題を惹起し拡大してきたが、林業再生に、政治の打つ手はほとんど効果は期待出来ず、管理放棄による林地崩壊等に、環境税を創設して備える自治体が順次ふえてきました。
本書で、戦後六十年の日本で起こった、最大の事件として捉えた日本の森林・林業問題は、杉・桧の植え過ぎから起こった問題か、杉・桧を使わなくなったのが問題か、何処に失政があったかは、後世の歴史家が判断する問題として、逃げてはならないと思います。
本書は林業から端を発した諸問題を、広く深く分りやすく、提言されており、森林・林業から、建築の世界へと、話が広がり過ぎの感は否めないですし、大事なテーマについては何回も提起されていて、飲み屋で何度も同じ話を繰り返す人を想起させます。
しかし、それだけに本書は感情に訴えるものがあります。私たちは本書で取り上げた問題を広く社会にアピールして、林業再生の本当の世論を喚起していかなくてはならないと思います。もう知らなかったでは済まないのです。
森林・林業問題が、美しい国日本の、歴史の汚点として、残らないように活動していきましょう。
それではまたお会いしましょう!
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