子育て中の人は会社で昇進できないのか?
こんにちは。
最近、日本でのニュースで「子持ち様」という言葉を見かけました。
また、朝日新聞ポットキャストで「子どものいない女性、出世最強」説、という回があり、聞いてみました。
それらを見聞きした中で、感じたことや、私がアメリカの企業で働いてみて思ったことを書いてみようと思います。
私個人の意見なので、「ああ、こう思う人もいるんだな」程度に読んでいただけると幸いです。
子育て中の人が働くということ
子育て中の人が子どもの病気などで早退する、休みがちになる、というイメージがあるが、それは経験からすると、大抵が小学校に上がるまでの子どもがいる親、という感じがする。もちろん、いろんな事情がある子どもたちがいるので一概には言えないが、早退の頻度は子どもの年齢が大きく関係していて、そして低年齢の子どもを育てる親に起こりがちだと思う。なので、家で一人で留守番ができる年齢の子どもを育てている親は、早退や病欠、という頻度は減るが、日常において子どもが帰ってきたら食事の世話をしたりする必要はあるので、長時間残業や出張などは頻繁にはできないと思う。
そう考えると、子育てしている人々は、世話をする人がいない人たちに比べると、業務時間への限りはどうしても出てくる。
そしてポッドキャストでも言われていた通り、会社への忠誠心として業務時間の長さが測られてしまう上に、その忠誠心が昇進に響いてくる状況においては、この制限は昇進へ影響してくるだろう。
出世最強説について
そもそも、どういう人たちが出世していくのか、と考えた時、どうしたって今幹部や管理職にいる人たちと似たもの同士が出世していくのはどうしようもない事実である。また、女性においては、ハキハキとしゃべる、声が大きい、表情が明るい、などの共通点があると思う。やはり、自己肯定感が高く(見える)女性は「この人に仕事を任せたい」と思われるのだろう。それに、そのような特徴だけではなく、やっぱりすごく働くことが好きで、長時間労働を毛嫌いしなかったり、元々とても頭がいい人だったりする。
このような人たちは、実は子育てしていても出世していく。でも、よくよく見ていると、まだ低年齢の子がいても残業できるのは実家のサポートがあったり、シッターを使える経済的余裕(土台が違う)があったりする人が多い。ある程度上行きエスカレーターに乗れる人が出世していくイメージである。
出世とは?
ただ、「出世ってそれほど大事?」という見方もある。これはポッドキャストの後半でも語られていて、実はこっちの内容の方が大事かも?と思った。
会社に勤めていると出世こそが究極の承認されている形態だったりするが、メンバーやスタッフレベルでも自分の得意を生かせて良い人間関係がある仕事なら出世していく必要もないのでは?と思うフシもあるし、会社に勤めることの意義を自分で見出せば、周りがそれほど気にならなくなる。
一方で、すごく能力があって、リーダーになるべき人、っていうのはやっぱりいて、そういう人がどんどん認められて上にいくのを見るととても嬉しくなる。特に、女性であると、自分が女性であることもバイアスもあり、特に嬉しい。そういう人たちが「子育て中」という理由だけで出世ができなくなる社会にはならないでほしい、と思う。
アメリカで見たもの
私が働いているアメリカの会社ではどんな感じかというと、まず「子持ち様」という概念は全くないと言えるだろう。
子どもがいない人は「子どもを持ったことがないから子どもがいる人たちのことはわからないけど、きっと大変なんだろう」というふうに考えているし、子育て中の人は、他の子育て中の人が子どもの病気や学校の事情などで早退しなくてはいけない時に「こっちは大丈夫だからすぐ行ってあげて」と100%言ってくれる。だから、相手がそうなった時も自分達は100%そのように言う。
要は、お互いを尊重する、というカルチャーが深く浸透している。
では、そうして穴が空いた業務のカバーは誰がするのか?
基本的には、よっぽど急ぎのものでない限りはカバーしなくていいし、する必要があるなら上司がするか、上司から依頼される。そして必ずカバーしてくれたことに感謝してもらえる。
それによって業務に遅れが出ても、「わかった、じゃあ、いついつまでにやってもらえればOK」のように言ってくれるので、その通りにすれば良い。
とにかく、寛容なのだ。
こうなるには、「本当にその業務は今日カバーしなくてはいけないのか?」と上司が適切に判断できる必要があるし、もしそれが頻繁に起こるようなら、締め切りを緩めに設定する、パートタイムの人を雇う、全員の負担が減るように業務改革をする、など、何かしらできることがあると思う。
なぜか日本ではすぐに「行政がどうにかするべき」というが、制度にならないと人が動けない日本のカルチャーは少しずつでも変わっていったほうが良いと思っている。
こんなふうに言っている自分も、子どもがいない時は、子育てしている人がどんなに大変かを全く理解していなかった。そのため、仕事分担を任された時に、みんな平等に、と言うつもりで時短だった子育て中の人にも他の人と同じ業務を割り振ろうとしたら、上司に「〇〇さんの負担がちょっと多いね」と言われて気づいたことがあった。
子育て中の人の昇進についても、アメリカではそれが影響する、と言うことはほとんどないように見える。長時間労働や会社への忠誠心みたいなものを昇進の物差しとして見ていないからかもしれない。一方で、アメリカではコネが非常にモノをいうので、上に引っ張ってもらうような人徳や人脈がないと上には行けない。日本でもそれはあるかもしれないが、アメリカのそれはもっと政治的な匂いがする。これはこれで、目には見えず、数値で測れるものではないので、やっぱりそういうことに長けている人が昇進していくのだと思われる。
まとめ
アメリカで人脈もコネもない私は、出世話のカヤの外だし、日本だと子育て中でハキハキしているわけでもないので、どこにいても出世にはほど遠い人間である。ということで、このnoteは出世できないしがない社会人のつぶやきでしかないのだが、一つだけ、心から思っていることは、日本でもアメリカでも、仕事をしているすべての人たちがそれぞれの仕事をちゃんと感謝されて、自分の仕事に意味を見い出せて、毎日ささやかでも幸せに仕事人生を送ってほしい、ということである。