ピノキオの話
僕は売れない芸人だ。一応王手事務所に所属はしているが、なにしろ今時はやらない腹話術師を仕事にしているので、とても貧乏だ。今日も相方のピノキオを連れて舞台に立つ。腹話術はそれなりに年の行った人には人気がいまいちだが、子供たちだけにはものすごく受けが良い。だから僕は子供たちに向けて、子供たちに語り掛けるつもりでしゃべっている。人形が口をパクパクと動かすしぐさが可愛いのか、今日も子供たちの拍手喝采を浴びて舞台から戻ってきた。僕は楽屋に相方の人形ピノキオを置いてトイレに行った。そしてトイレから戻て来ると、いきなり人形のピノキオが口を動かして話始めた、「やあ、松下君いつも可愛がってくれて本当にありがとう。これからも仲良くやろうぜ。」僕は驚きのあまり声も出なかった。木でできているはずの人形がいきなり話始めたものだから、僕はメチャクチャにビックリした。
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