妊活記録11.体外受精(C病院採卵一回目通算4回目)

採卵周期一回目、C病院でおなじみの薬たちと再会した。

今回使うのは、クロミッド1錠を10日間毎日と、
1日目と2日目にゴナールエフ皮下注ペンを225単位、
4日目と6日目に150単位。

私は幸いこういった薬たちで体調が悪くなったことは一度もなく、飲めと言われた薬を指示されたスケジュール通りに淡々と毎日飲んでいくだけだ。
だけだが、やはり4回目ともなると、悪い思い出しかない採卵にはフラットな気持ちではいられず、ひたすら飲んで卵を育てている期間にも色々な出来事と気持ちの去来があった。

以下、ダイジェストでお届けする。

〇予定を好きに入れる夫への苛立ちが爆発する
(解説:一緒に検査の日程かなにかを入れて病院に行かなくてはいけないのに、たしか二人が合う休日に夫が同窓会の予定を入れた)

私はなんの予定も立たなくて入れられないのに。ずるいよそっちばっかり。
一人で負担を背負ってんだぞ!もっと反省して申し訳なげにしろよ!!
そっちが同窓会とかいうから行けなかったんだぞ!

…と思うが、それはそれで私に原因があったとして、相手にお前のせいだぞ!もっと申し訳なげにしろよ、なんて言われたらそんなの体質だから仕方ないじゃん…。パワハラじゃんって思うし、好きな人にそれを言われたらつらいだろうななんて思ってしまう。
夫はあんまり気にしてなさそうだけど。私が色々言っても何も言えずに私の腕をさすっていた。
何も浮かばないし言えないらしい。
私もこんなこと言いたくないけど、もっと寄り添ってほしいとしか言えない。

〇採卵の痛みが怖すぎて自分に妙な暗示をかける
(当時の日記から抜粋。怖すぎて毎日採卵に関する動画を見ていたものと思われる)
色々悩んだけど、世の中好きで痛い思いをしたい人もいるらしいし、殴られるよりましな痛みだろうし、30年前だったら超富裕層しか不妊治療を受けられなかったものが、いまは庶民が高度生殖医療を受けられるのだから、ありがたいものと考えなくては…。
死ぬほどのものではないんだし、針を刺されるのがなにほどのものか。
ていうか昨日見た動画で意識高そうなスタイルいいきれいな女性が採卵で27取れてお腹ポッコリになるほど腹水がぱんぱんになってたけど、あれやばいだろ…。

〇不育症病院で謎の抗体陽性であることが判明
記事9を参照されたし。

〇幸せってなんなのか考えだす
悪い思考なのだが、夫にちやほやされ、いつまでも二人で恋人気分でいられると、レストランで騒いでる横のク〇ガキとかを見て本当に子供がいたら幸せなのかという気持ちが兆してくる。
今のままでも十分幸せなんじゃないのか…?
夫に一番に大事にしてもらえるのは私でありたい。
この職業で、この生活スタイルで、子供いないのももったいない気もするけど、損得でいうなら子供はいたほうが絶対お金がかかる。お金の問題じゃないけど。いてくれる幸せで考えるものだけど。
同じ職で結婚してない子供いない人もざらにいるし。

色々考えるが、でも夫の笑顔を見ているとこの人がかわいがる対象を増やしてあげたいなあとか、お母さんになるってどんなかなあとか、自分だけの赤子がいるって楽しいだろうなあとかポジィティブな気持ちもある。
悪い子には育てなければいいんだし。
少なくとも私は年齢制限がある限り諦められない性質だし、あとになればなるほど苦しくなるのもわかっている。成功するまではやめられはしないだろう。
色々な流派がある不妊治療業界で、少なくとも科学的に不妊解消を追求する学問?に頼っているわけなので、あとはもう医療技術と天命にまかせよう…。
だんだん近づいてきて採卵が憂鬱になってきたよ…
手前の浅い取りやすいところにできてくれることを祈るしかない。

〇夫が複雑痔ろうで一週間入院した
(この情報いる?という気もするが、一応自分の記録も兼ねてるので…と言い訳)
複雑痔ろうとは膿?のバイパスがお尻の皮膚にできちゃう病気で、粘膜が繰り返し細菌感染をすることで起こってしまう。
前々から決めていた入院なので心の準備はできていたが、本人が絶食と風呂もシャワーも禁止と入院生活のあまりの退屈さに参っていた。
痔なら日帰り手術も可能なのだが、複雑痔ろうは切開手術と入院が必要になる、らしい。
皆さんはお尻の皮膚は大事にしてあげてください。

こんな感じの悩みが尽きない生活の中で薬を飲んだり注射したりして、採卵周期には3回通ったが、時期がよかったのか、自分の仕事も落ち着いている時期であり、混雑もそれほどではなく、通うのは全然苦痛じゃなかった。

採卵直前の内診時に、医師が数える卵の大きさと個数をなるべく覚える。
右は16、16、15、13、13…と右手で数えて10ぐらい、左は15、15、13、13…と5~6ぐらい。
だいたい15個ぐらいあると思った。うん、ちょうどいい数。
聞き捨てならないのが、卵胞数を数えた後に「左の卵巣、子宮裏」とわざわざ記録してあり、前回の悪夢がよみがえってきた。
また左卵巣子宮の奥かよ~~~~!私の場合それが難しいんだよ~~~

採卵直前なので、採卵当日の説明と、事前のトリガー薬の説明などがいっぱいある。

採卵日の前々日の25時にブセレリン点鼻薬。
クロミッドはこの日の就寝前に飲んで終了。
感動したことに、ブセレリンは小分けにして小さなスプレーボトルにしてくれていた。
あの使い切れねえまずい高い薬を小分けにしてくれてんだ!!なんて優しい病院なんだ!
で、前日排卵予防でロキソニンを朝昼夜3回必ず飲む。
当日朝9時にボルタレン座薬を入れる。
だそうだ。

採卵日、ちょうど仕事が休みの日だったのはありがたいのだが、採卵の悪夢と辛さが蘇ってきていやーな気持ち…。
暗くて、何も楽しめない。痛いんだろうなあ、つらいんだろうなあ…。もう二度としまいと思ったのに…

さて、どんなに嫌だ来るなと願っても当日になってしまったので、ドナドナの気持ちで病院に行った。
これまでのちゃんとした手術室があった病院と比べると、格段に雑然とした処置室で、なんとなくそれが緊張しなくてよかった。
入室して、下半身を脱いでタオルを巻いて準備。
アロマオイルをしみ込ませたミニタオルを持ち込んでいいか聞いて、もちろんいいとのこと。

台に寝て、血圧計をつけられたりして寝ころんだあと、入ったのが院長先生ではなく若い先生だったので、わかってはいてもちょっとがっかりした。
血圧を測って、消毒して、いよいよ開始。
麻酔の説明があって、まずは内診ということでプローブが入れられたが、やはり左卵巣が見えないそうで長いこと苦労している様子が伝わってくる。
あーもーまたかよ…
その様子がわかったので、私前の病院で左卵巣が大変だったから転院したんです、今日も無理だったら続行不可能と言うかもしれないです、と申告しておいた。
先生はおしゃべり絶対しないで!迷惑!のタイプでは全くなく、いや本当にそうですね~普通にやると見えないですね~、早めにほかの先生も入ってもらってやりますね~と応答してくれた。

じゃあ麻酔からしていきますね、と開始。
いよいよか…と思う。
クスコを入れられてお股の入り口を固定され、ここが本当に不快。ぴくぴくしちゃうが大丈夫なのか。
このあたりで看護師さんにケタミンの話題をふられ(なんでだっけ?)、不妊治療クリニックでこの話題を出せるチャンスに私は嬉しくなり、ついべらべらケタミンの悪夢について話してしまった。
この間に結構長い長い表面麻酔をじっくりとやっていて、けして気持ちがいいわけではないが、全然いける不快さ。
ケタミンの悪夢を先生も看護師さんも面白がって聞いてくれ、私も時々笑っちゃってお股がぴくぴくしちゃって恥ずかしい。
では局所麻酔やっていきますね、これはちくっとしますよ、の言葉の後に、局所麻酔。
これだけは何度やっても痛い。
じくんともずくんともつかない重くて鋭い痛み。やはりイッ!ウッ!の声が出る。
右に一回左に一回だったと思うけど、どうかな。顔が勝手に歪んでしまう。
局所麻酔のあとはほんのすこし待っただけで、比較的すぐに、では右からやっていきますね、と言われた。
いよいよだ…右は簡単なので本当の地獄はまだまだこれからだ!と思う。
右のほうに針が入る感触はあったし、じっくーんという感じはあったけど、入ってしまえば全然つらくない。

いつあのいやーな「「「ぺにゃーん?」」」※が聞こえるんだろうと思っていたところ、順調にいってますよと言われ、ついここはぺにゃーん聞こえないんですね、と言ってしまったところ、思いもかけず先生がけっこうおしゃべりに乗り気な調子で、
「あれは自動で吸う機械を使うとあの音がなるんだけど、うちは手動で吸ってるから」と教えてくれて、
心の底からへええええええ!!!!!おもしろーい!!!!!!などと採卵中なのに思ってしまった。
つまりこの段階でもかなりの余裕があったのだと思われる。

※経験あるひとしかわからない話ですみません。
話題に出ている機械を使って卵胞を吸うときに「「「ぺにゃーん?」」」としか聞こえない音が鳴るらしいです。
そんな人はいないと思いますが、聞きたい人はyoutubeで「採卵手術 ドキュメンタリー」で検索していただけると密着現場の音として聞くことができます。
一回目の悪夢のさなかにずっとこれを聞いていたため、マジでトラウマレベルで嫌いです。いまYouTubeで確かめていただけで鳥肌が立ちました。
メーカーの人がいるなら問い詰めたいです。なんであんな不気味な音にしたん??Jアラートのミサイル警報に迫る恐怖。

興味深さと驚きのあまり、ついあの音大っ嫌いなんです!!とか言っちゃった。
右は麻酔と刺突の後は全然辛さも痛みもなく、むしろおしゃべりが楽しかった。前回とのなんという落差。すごいなあ、ここの病院…。
そして初診のときに色々状況を聞いてくれた看護師さんと一緒の方で、すごく優しい。声掛けも優しい。
書く余裕がなかったが、始まって下半身にタオルをかけて待ってるだけの一番嫌な状況のときも、そういえば「~の時にみなさんお痛みが出るみたいですね」とか「このときにリラックスすると、ちょっとましみたいです」とか、すごく丁寧で優しかった。ショートカットの茶髪の、かわいい丸顔のナースさんだ。

おしゃべりしながらじっと耐えてるだけで右は終わったので、次は左。いつもここまではそこまで問題ないので、きついのはこれから。
左は言葉通り色々処置をする前に院長先生を呼んでくれ、私もあいさつしたが返事は返ってこず。たぶんよろしくお願いしても自分が本処置者で入る気はなかったからだろう。
院長先生は処置には加わらず、若い先生にこうすればできるよ、となんで呼んだの風に言っていたが、お腹の押し方、見方、そして針が刺さって無事にできている様子を見守って静かに退出していった。
エコーでちゃんと見えるまで、いつも通りずいぶん色々な人に左下腹を押されてぐええとなったし、
毎度思う「こんなに脂肪ついてて押しづらいおなかですみません…」と心底申し訳さもあったが、すみません、と言われるたびに「前の病院でもそんな感じで押されてました!」「いや前のところはこんなもんじゃないぐらいの押され方でした!」とかけっこう自分も参加した。
こんなに参加する採卵される人も珍しいのかな。
左はもちろん針が入る際は右より断然痛かった。
ずどーん!!という感じだったし、はっきり針を感じた。動かされる際も痛かったけど、いたーい!といえばけっこう耐えられた。
さすがに先生も左はおしゃべりする余裕がないらしく、私も話す余裕がないのでみんな黙っていた。
でも耐えてさえいれば吸えているらしく、頃合いを見計らって「もう半分以上終わってますか?」と聞いたら、「半分よりずいぶん過ぎてるよ!」と言ってもらえて力が抜けた。あともうちょっとなら、いける。大丈夫。
あとはこの時間と態勢に耐えるだけの時間が続いて、先生が速やかに終わらせて股の色々が抜かれて、「終わりですよー」との声掛け。

終わった感動で涙が出てきて、ありがとうありがとうと言いまくるだけの人間になった。
「全然出血もないみたいですよ」と言われて、そういえばここはガーゼ詰めるのもないんだと思った。

あまり痛くなく終わったことと、採卵後ハイで浮かれてしまい、不妊治療詳しいですねと言われて、
「私、検索魔なので調べまくるので詳しくなるんですよ」
と言ったりして得意になり、調子に乗って終わり際に
「ここは二段階針を使ってるんですか??」などと知ったかして聞いちゃったところ、
先生に「二段階針ってなんですか?」と聞かれて恥ずかしかった。
不妊治療界隈では有名なのかと思った。
二段階針というのは先だけ細くて途中から太くなっているタイプの針で、すごく高いんだそうだ。

ちなみにちゃんと教えてくれて、二段階針ではなく、すごく細い針を使ってるんだそうだ。何ゲージかも聞きたかったけど、さすがに気持ち悪いからやめた。
お股周辺を拭かれ、お尻に座薬を詰められ、はいゆっくり起き上がってくださいね、と優しくお世話されて、着替えて、リラックスルームへ。

隣に小さいペットボトルの水と、ビニール袋に入ったお菓子が置いてあって、感動した。
…あれ!?自費診療のときは当たり前だったらしいけど、何気に3院目だけどこういうお菓子系もらったの初めてかな!?保険診療なのに優しいなー。
もちろんベッドはB病院よりは簡易だし、ちょっと固いんだけど、横になれるだけで全然違う。

しばらく休んで、まったく痛くないのは終わった直後からわかっていたし、この感じならまた次もいける!と思って明るい気持ち。
取れて残る卵の数がどうあれ、少なくとも採卵をこれでおしまいにしないといけない、という悲壮感はない。
前回はあった。ありありだった。絶望した。
大変失礼だが、院長先生より多少技術が劣る先生でこの上手さなら、この病院でこれ以上下手な人はいないだろう。採卵の時の医師ガチャほど怖いものはない。

20分休んで、内診に入って、一瞬で終わって、またすぐに診察で呼ばれて、
「痛くないですかー?」「全然痛くないです!」の会話をして、結果の紙を渡された。
ちょっと殴り書きみたいな文字だけど、「本日の採卵個数 13個」と書いてある。
ええ!!!あんまり採卵時間長くなかったのにけっこう採れたんだ!
うれしい。頑張った甲斐があった…。
凍結結果効かないとまだわからないけど、ひとまずうれしい。

私は思った。
この病院、私と相性が合う。やっと見つけた。
長い不妊治療になるにしても、ここならずっと通うことができる。
もしいま採れた卵が駄目だったとしても、今の感じならまだまだ耐えられる。

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