妊活記録7.体外受精(B病院移植一回目)
仕事の繁忙期があったので一か月待ち、5月に移植周期に入った。
医師に生理はどうでしたか?と聞かれ、どうって…?と思いながら
「いつもよりちょっと早かったですけど順調だと思います」と答えたら変な顔をされてちょっと悲しい私。
「いやあのー周期とか…」と言われたため、それでもよくわからないので半分パニックになりながらアプリを見ながら開始日と終わった日を答えることにする。
それで正解だったらしい。
医療技術を持ってる人との会話って難しいなー
周期2回目の診察で、初めましての医師と対面した。
採血したホルモンの数値が変だったらしく、先生が困った顔をしている。
どうも、上がるはずの女性ホルモンが下がっているんだそうだ。
生理不順はあるか、生理は順調だったか聞かれたが、なんともいえない。
ここ3か月は順調だったが、その前は薬入れてて人工的だったし、薬でずらしていて自然な生理というものがわからない。
そこまでは言えなかったが、この先生は私がPCO(多嚢胞性排卵)気味もちなのをちゃんとわかってくれているのだろうか。
いまいちすっきりとしない会話だった。
排卵しちゃった可能性もある、ひとまず再度様子を見ようということになってようやく診察が終わった。
A病院のように患者の話を聞かないで、一方的に指示するスタイルも時々困ったけど、でも「PCOSもちはそんなもんよ」でどっしり揺るがなくて安心感はあったなあ。
B病院は医師はみんな優しいし患者とコミュニケーションを取ろうとしてくれているが、二人きりの空間で医者に困られると私も困るというか、どうしろって言うのさ…と結論が出るまでひたすら困るしかない。
3回目の診察ではちゃんとエストロゲンは上がっていたものの、低めの数値ということで、2回目と同じ先生に困った顔をされた。
排卵済みかもと悪い展望を突き付けてきたけど、一応自分の傾向としては普通に遅いだけだとは思っていた。
これはA病院で自分の体質をつかんでいたおかげだ。
おそらくPCOSのせいで、排卵はそこまで不規則なわけではないが、だいたい育ちが遅くて心配されるタイプ。
だから今回も主席卵胞がちゃんと決まらなかったのかもしれない。
4回目の診察。そろそろ私も先が見えない通院に疲れが見えてきた。
不定期かつ突然に午前の診察が入り、謝り倒しながら重役出勤する通院スタイルは、精神衛生上よくなかった。
あと、自分の運が悪すぎて仕事のなにかしらがある予定とピンポイントでかぶり気味なのが本当にストレス。
基本的に自分の裁量がある日程がある日常なのに、どうしてこう運悪くかちあうんだろう。
数日、もしくは一週間ずれてくれたら、ちょうど何もない一週間にあたるのに。
なんだかよくわからないけど、こうやって運悪くあれこれやってるうちはうまくいかないかもなと思ってる。
うまくいくときはあれだけ苦労したのがウソのようにとんとん拍子にうまくいくものだ。
こういうめぐり合わせな時点で、今の凍らされてる卵とは縁がないのかもな、などとなんの根拠もないネガティブな考えまで浮かんできた。
だんだんB病院の悪いところも目に付いてきて、ここで感じるその最たるものが、会計待ちが長いことだった。
採血、内診、診察まで本当にスピーディーで、感じのよい待合室の雰囲気もあいまって診察までは今日は早い!といつも思っているのに、なぜか会計に呼ばれるまでの時間が、今までの一連の流れを繰り返せるぐらい長い。
勝手なもので、診察まで待つのは患者さん多いし仕方ないよなで全然イライラしないのだが、会計で待たされると倍でストレスがたまる。
なんかこう、恋愛モノとかで本編の二人と関係ない脇キャラのサイドストーリーが長いというか、ゲームエンディング後のスタッフロールが多すぎというか、メインのおかず以外の添えものを作るはずだったのに手間がかかりすぎというか…(例え激下手)
夫に買わせたkindleでハンターハンターを読みながら待って、努めて待ち時間を気にしないようにはしていたが、気になるものは気になる。
あとそういえば、ちょこちょこ会計ミスもあって迷惑だったな…。
勝手な推測ではあるが、たぶん受付の方の仕事が遅いとかではなくて(いやそれもあるかもだけど)、なんとなくB病院は、内診や診察などの医療の本分にあたるところはすごく力を入れていて、正確に迅速に患者をさばくことを重視していた気がする。
その分、もしかしたらそちらを優先して、会計入力するのなんかはちょっと後回しにしていたのかもしれない。
医療現場で患者に何をしたのかは、たぶん医師でないとデータ作れないものね。
そう思うようにはしていたが、にしても遅いもんは遅い。
移植とか採卵の費用とか薬の処方がたんまりあるときに長いと仕方ないよなと思うが、前回と全く同じエコー診察しかしてないのに会計遅い。
5回目診察。右の卵胞が育ってるけどステイだね!また来てね! 完。
疲弊してきた中での6回目診察、ようやく先に進んだ。
ようやく排卵日間近になったということで、院内でブセレリン点鼻薬をうち、お久しぶりのウトロゲスタン膣剤を入れ続けてくださいとのこと。
移植の説明を聞き、やっと終わりの見えない予定が見えてきた。
長かった通院期間の末、ようやくB病院での初めての移植日になった。
こちらは1日かけて移植が行われ、朝私が受付して、採血して、そのホルモン数値が移植にかなう数値の場合のみ、卵を融解して移植の手続きに入るとのことで、移植にかかる時間は非常に長いが、それだけ卵を大事にして手厚く扱っているんだという印象を持った。
膣剤も忘れずに入れていたし、卵の融解さえうまくいけばこの日で躓くことはそんなにないだろうと思っていたのだが、診察室で対面した先生がこれまた明るい顔をしていない。
「P4(黄体ホルモン)が10あってほしいところが9.9しかないんですね。
ベストとは言えない状態ですけど、どうしますか?移植しますか?
こちらは強制できないので、YOKOさんが決めていいですからね」
と言われて、一瞬悩む。
ここまで来て、ここまで通って、また悩むのかあ…。
本当は色々と慎重になるべきタイミングかと思うが、いやもう、病院来ちゃってるし。移植の予定で仕事も休んじゃってるし。
電車賃かかってるし。
しかもなんか、半分とかならまだわかるけど、10以上のところを9.9って、それはもはや、誤差なのでは?
自然周期でいいときもあれば悪いときもあるだろうから、来月、再来月にいい周期が来るというのもわからないし。
不妊治療で時間を稼ぐのって、ただ自分の首を絞めるだけというか、意義があればいいんだろうけど、今回は意義が見いだせないなあ、ということで悩んだのは一瞬で、すぐ結論がでた。
移植でいいです!
そう言うと、念のために聞いてみたけど、その決意があるならもちろんこちらはそれでOKですよということで、移植の運びとなった。
卵の準備ができるまで昼ご飯食べてきていいですよと言われたので、景気づけにステーキを食べに行ってきた。
さて移植本番を迎えたが、移植に関しては過去に痛かった記憶はなかったので、そこまで構えず淡々と股を開いて卵を迎えることができた。
A病院ではモニターも何もなく爆速で行われるので、感慨も何もなくドタバタしてたことしか覚えてないが、
さすがB病院は丁寧なので、横で私の様子を観察している看護師さんが、絶えず今何が行われているかも教えてくれる。
「光ってますよ~流れ星のように見えますからね~」とこれ系のレポでお馴染みのことを言われ、私はそちらのほうに気を取られ、流れ星を完全に見落とした。
この時移植された卵のデータ資料では、
媒精からの時間 122時間
胚の大きさ 156μm
アシステッドハッチング あり
評価 6AB
子宮内膜の厚さ 10㎜
だったそうだ。
一週間後の判定日までの膣剤を処方され、もちろん私は言われた通りにシンクロフィットを頼りにせっせと1日2回のウトロゲスタンをトイレで詰め込み、判定日。
特に体調変化は気にしていないが、期待感を持ちたくないのに持ってしまって落ち着かなかった。
例によってフライング判定をしてみて、今回ばかりは自分で見るのが嫌だったので夫に見に行かせる。
表情をうかがうが、夫はあまり複雑な感情を出せる人間ではないので、よくわからない。
「どう?」と聞くと、
「うーん…よくわからない」。
わからないってことはないだろ、見りゃわかるだろ!とそれで勢いをつけて見に行ったが、2本目の線はなかった。
はあ…泣きはしないががっかりした。そろそろ報われたかった。本当に残念です…。
そしてもちろん翌日の判定日はHCG(妊娠してると出てくるホルモン)は0.0だった。
院長からはエマアリス検査を勧められた。
自分の中で、移植2回目陰性までは染色体異常で誰にでも起こりうること、悲しいけどそんなに落ち込まないで大丈夫!また頑張ればいいさ!
みたいな妙な言説がしっかりあったので、今まではちょっと運が悪いだけの人みたいなカテゴリに自分を入れていたのだが、さすがに考え直さなくちゃだめみたいだ。
A病院の卵はフィードバック0なので何もわからないが、少なくとも今回の胚はいわゆる良好胚と言えるものだったと思う。
35歳で3回胚を移植してだめだと、そろそろ着床障害の域に入ってくる。
着床障害はね、つらいよぉ…(自分の中の情報や恐怖がなぜか霊となって語りかけてくる)
着床のメカニズムはね、解明されてないらしいんだよぉ…
神秘なんだよぉ…
だから色々な検査が手を変え品を変えいっぱいあるけど、全部高いんだよぉ…
しかも検査をやればやるほど深みにはまっていくみたいだよぉ…
B病院採卵2回目に続く