診療放射線技師という仕事の面白さ
こんにちは。
診療放射線技師のだーはらです。
今回は、私の仕事である"診療放射線技師"という仕事について、私が感じている仕事の面白さをお伝えしたいと思います。
一言で表すと
"創意工夫し、それを表現できる事"
がこの仕事の面白さです。
解説をしながら、面白さについてお伝えしたいと思います。
まずは"自分の仕事の型"を作る
私がこの仕事を楽しいと思えるようになったのは、働き始めて10年くらい経過してからでした。
診療放射線技師は、働き始めて数年はとにかく"仕事の型"を覚えなければなりません。
いわゆるルーチン業務です。
全身の一般撮影の撮り方を覚え、CTやMRといった装置の使い方を一通り覚えます。
この時期にしっかり業務に取り組んで"自分の仕事の型"を作っておかないと、いつまでも目の前の業務に取り組むだけで力を使い切ってしまいます。
創意工夫は"自分の仕事の型"が出来上がり、余裕を持って業務に取り込めるようになって初めて、創意工夫が出来るようになるのです。
撮影には医師又は歯科医師の指示が必要
診療放射線技師法では、以下のような条文が存在します。
診療放射線技師は、"医師又は歯科医師の指示の下に"検査を行っています。
すなわち、撮影する部位や方法は、医師や歯科医師が決定し、その指示に応じて検査が行われています。
診療放射線技師の判断で撮影部位を追加するのは法律違反であり、気になる場所があるから追加で取って欲しいという患者からの希望に応じられない理由はそこにあります。
診療放射線技師の分岐点
一通りの仕事がこなせるようになった後に、診療放射線技師としての姿勢が決まる分岐点に辿り着きます。
それが、
"指示を見て仕事をする診療放射線技師になる"
"患者を診て仕事をする診療放射線技師になる"
という分岐点です。
実は、この分岐を決める要素は本人由来だけではありません。
"指示を出す医師や歯科医師の考え方"
"放射線科医の考え方"
"職場にいる他の診療放射線技師の考え方"
など、多くの要素によって決まります。
医師や歯科医師にも「基本的な指示内容を守ってくれれば、ある程度は技師個人の判断に任せる」と考える人もいれば、「とにかく自分の指示に忠実に従って欲しい」と考える人もいます。
診療放射線技師にも「院内で決められた基本ルール通りに検査を行うことが絶対」「医師又は歯科医師の指示は絶対厳守」と考える人もいれば、「患者に合わせて柔軟に対応すべき」「指示の範囲内で出来ることは最大限工夫する」と考える人もいます。
極端な言い方をすれば、「教本に近い画像を目指すか、病変がわかりやすい画像を目指すか」ということになります。
前者は"医師や歯科医師の頭の中に入っている教本に近い画像を提供する事で、異常が見つけやすくなる"という考え方であり、後者は"異常を目立たせる事で見つけやすくする"という考え方であり、それぞれに一長一短があるため、明確な正解は存在しません。
なので、どちらの分岐が正しいというわけではなく、診療放射線技師としてどちらを求められるかという分岐点となります。
創意工夫された画像には意思が宿る
同じ指示を受けて撮影された画像あっても、全て微妙な差があります。
診療放射線技師それぞれに自分なりのこだわりがあり、無意識においてそれが画像に現れます。
“患者を診て仕事をする診療放射線技師“が撮影した画像は特にそれが顕著です。
たとえ同じ指示で撮影された画像であっても、“描出したいもの“が明確であるかどうかで、画像には大きな差が生まれます。
しかし、依頼した医師や歯科医師が見たいポイントと、診療放射線技師が見せたいポイントが乖離してしまうと、工夫された画像ではなく見えづらい画像になってしまう場合があります。
見えづらい画像が続いてしまうと、依頼元である医師や歯科医師の信頼を失ってしまい、“指示に忠実な画像を撮るだけでいい“となってしまいます。
患者を診て、話を聞いて、依頼した医師や歯科医師の検査目的を考えながら、その都度必要な画像を撮影して提供する。
機会があれば、医師や歯科医師と話をして、自分の考えと乖離がないか答え合わせをする。要望があれば聞く。修正すべき点は修正する。
“自分がどのような画像を撮りたいか“だけでなく、“どのような画像が求められているか“を知ることが、創意工夫をする上で重要なことです。
撮影した診療放射線技師の考え方や意思は、画像に宿っています。
自分が見せたいものを前面に出した時
時間に追われて撮影してしまった時
依頼内容をじっくり考えて撮影した時
その時々の意思が画像に現れているのです。
創意工夫が画像に出るからこそ、この仕事は面白い
患者さんが検査室に入ってきた時、どのようなことを考えて検査に入るか。
その姿勢で、診療放射線技師の仕事への取り組み方がわかります。
まず最初に患者さんの症状を確認する人
どんな検査をするか説明する人
いきなり撮影体位の指示を始める人
患者を呼び込んだ時点で指示内容はわかっているので、症状を知らなくても検査をする事はできます。
しかし、“写真を撮ること“が目的なのではなく、“患者さんの症状の原因となる病気を診断するための画像を提供すること“が診療放射線技師の仕事なのだと私は考えています。
病気を診断するために、どのような画像が必要なのか。
依頼した医師や歯科医師は画像に何を求めているのか。
症状の原因となりうるものにはどのようなものが考えられるのか。
どうしたら患者さんが痛みや恐怖心を和らげることができるのか。
そのようなことを日々考えながら検査をしています。
“病気があるならはっきり見えるように“
“病気がないなら見落としが起こりにくいように“
画像検査のみで、全ての診断ができるわけではありません。
画像検査のみで、症状の原因が全てわかるわけではありません。
しかし、画像が診断や治療方針決定に大きく関わっていることは間違いありません。
私たちが日々学び施した創意工夫は、画像になって届きます。
自分が施した一つの工夫が、診断や治療方針決定に繋がることもあります。
ほんの数分前に学んだことが、すぐに活かせることもあります。
それこそが、診療放射線技師という仕事の面白さであると思います。
一枚一枚の画像に、診療放射線技師の“意思“と“創意工夫“が詰まっています。
私は、診療放射線技師という仕事に出会えたことに感謝しています。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事で、診療放射線技師という仕事に興味を持っていただければ嬉しいです。