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腰を回して打つ・投げるとは?

まず、はっきりとお伝えしますが、

腰は回りません

これは、そもそも腰が回る構造になっていないからです。

しかし、InstagramやYouTubeなどを見ていると、「腰を回して打ってください」と言う指導者が大変多いです。

バレーボールの指導者に限らず、アカデミーを運営しているような人たちでさえ同様です。

では、なぜこうした誤ったアドバイスが広まっているのでしょうか?

理由はいくつか考えられます。

- 単純な知識不足
- 自分の感覚に基づいて伝えている
- 昔からの有名な指導者の言葉をそのまま受け継いでいる

こうした要因が複雑に絡んでいると考えられます。

実際、Instagramなどで「腰を回して打て」と言っている指導者数人に質問しました。

「腰とはどの部分を指しているのですか?」と尋ねたところ、表現はさまざまでしたが、ほとんどの人が「腰椎部分」を指すと回答しました。

では、なぜ腰は回らないのでしょうか?
腰椎の可動域はどれほどあるのでしょうか?

腰椎の回旋可動域についてインターネットで調べると、腰椎の可動域は"5つの椎骨を合わせてもわずか5~12°"程度しかないことがわかります。

これは、鍼灸師や医療関係者の情報でも確認できます。

背骨の回旋角度 L1〜L5が腰椎部

まっちゃんの理学療法ノートより引用

これを見て分かる通りたった"5°から12°"です。
これは、時計のメモリで言うと2~4メモリ程度に相当します。

これほど僅かな回転を、指導者の目で正確に捉えることができるでしょうか?

さらに、この程度の回旋を「腰を回す」と言えるのでしょうか?

私は、見えないので回せ。と言えません。

実際、腰は回らないのです。
※全くと言うわけではないので、何故か?考えられる事はまた後日
下記の記事を参照ください。
(一部有料です。)


この事実を正しく理解し、指導において「腰を回して打て」というアドバイスがいかに誤解を招くか、今一度考え直すべきではないでしょうか。

では、なぜ「腰が回る」という表現になるか?


この誤解は、身体全体の動きと一部の動きを混同していることに由来します。

多くの人は、打つ・投げるなどの動作を行う際に、"全身"が連動して動くことを「腰を回している」と感じています。

実際には、腰だけが回っているわけではなく、
股関節や胸椎(背中の上部)が大きく動いているのです。

特に、胸椎の回旋可動域は腰椎に比べて広いため、上半身の動きが「腰を回す」という感覚を生み出します。

さらに、骨盤と肋骨に付着している筋肉が、胸椎の回旋によって引っ張られ、ねじれるように動いていきます。

この筋肉の引っ張りによって体幹が回転し、これが腰そのものが回っているように感じさせているのです。

実際には、腰椎自体はわずかな角度しか回旋していませんが、体全体の連動によって「腰が回っている」と見える感じるわけです。

また、股関節の柔軟な動きも重要です。
腰そのものが回るわけではなく、股関節の動きによって骨盤が回転し、それが全体の動きと連動しているのです。こうして一連の動作が行われる中で、簡単に「腰を回す」と表現されることが多くなるのです。

「腰を回す」という誤解に基づいた指導を続けると、成長期の子どもたちにとって、体に過度の負荷をかけ、長期的な健康リスクを伴う怪我につながる可能性が非常に高いです。

腰椎は回旋に適していないにもかかわらず、無理に回す動きを繰り返させることで、腰や股関節、そして体全体に深刻な影響を与えるリスクが高まります。

特に、成長途中の子どもたちは柔軟性がある反面、まだ発達途中のため、過度なストレスや不自然な動作が繰り返されると、将来的に慢性的な問題を抱えることにもなりかねません。

それでも、あなたは「腰を回せ」と言えますか?


今一度、学び、そして考えてください。

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