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離婚という決定的な事実。

“今から離婚届を提出します。“

そんな LINE がポンっと飛んできたとき、返信をせずにまじまじとスマホの画面を眺めた。

妻は、決めたことは何事も行動に起こしてみるという意思の強い女性だ。
もちろん、それに関して良し悪しはあるけれど、行動が出来ること自体はとても尊敬している。後悔するくらいなら行動してみよう、それが彼女のスタンスだ。

だから、彼女が最後の最後で心変わりすることがないのは分かっていた。
けれど、それでも、実際に提出するんだと知ったときはどう反応していいか分からなかった。

本来であれば、もっと前に市役所に届を出すはずだった。
それが、戸籍を移す関係で彼女が地元の市役所に独りで出しに行くことになった。

この投稿を書いてる時点で、離婚は成立している。
僕も彼女も、書面上では”赤の他人“に戻った。
正直、その場に僕自身がいなかったこともあり、イマイチ実感はない。
紙切れ1枚で関係が切れてしまったのかと思うと、本当に呆気ない。

そんな僕の感情とは裏腹に、届は受理されている。

自分勝手な発想なのは分かってる。
それでも、本当に離婚しなくてはいけなかったのだろうか、と毎日考えている。
離婚の回避、夫婦関係の修復は出来なかったのだろうか。
なぜ、もう一度夫婦として向き合う事を選択出来なかったのか。

考えれば考えるほど、沢山の“なぜ?”と後悔の念が込み上げてくる。

皮肉にも、彼女は当の昔にこんな考えと格闘していたんだろう。
恐らく大前提として、彼女の立っていた土俵に僕が立てていなかったのではないか。
要するに、気が付くのが遅過ぎたのだ。

ずっと自分の事ばかりで、彼女の事を優先せず、自分の未熟さと仕事のストレスで彼女をめちゃくちゃにしてしまった。
これが今の状況に繋がっていて、妻が離婚を選択した理由。

過去にタイムスリップしたら何とか出来るのか。
残念ながら、そうとは思わない。

妻が僕に離婚という強く、揺るぎない事実と対峙させてくれたから、僕は我に返れている。
逆に、こうでもしていなければ、残念ながら僕はそのまま何も変わっていなかったような気がする。

そんな現状に気が付き、まわりを見渡した時、妻は既に僕の身近から離れ、遠い存在になった。

これが離婚という結果がもたらした、決定的な事実である。

HY

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