水温む
いつもはスーパーに買い物にいくのだけれど、
今日は病院の帰りに、八百屋に寄ってみた。
久しぶりにのぞいた八百屋は、店先にきれいな苺が並べられていて、甘酸っぱい春の匂いがしていた。そして安い。
前に来たのは年末だったから、冬の真っ盛りで、みんな慌ただしくお正月用の買い物をしていて、お雑煮に入れる三つ葉が高騰していた。
師走の活気もよかったけれど、春の八百屋は、のんびり優しい感じがして気楽なところがいい。
苺をひとつカゴに入れ、少し薄暗い店内に進むと、葉物が安い。青々として、とてもきれいだし、太っている。
にら、春菊、ほうれん草、一束ずつ買う。香りの強い葉物は好きで、つい手が伸びてしまう。
にらは年中出ているけれど、春が一番美味しいらしい。春菊は、もうすぐ終わり。ほうれん草も、春まで。いい買い物ができた。
葉物はそんなにもたないから、なるべくすぐ使おう。何に使おう?
にらは、ZENBヌードルのレシピで食べることに決めた。
ZENBヌードルは、ミツカングループの作る黄エンドウ豆のパスタ様の麺で、健康食だが、それだけでなく煮汁も残さず飲めてエコで美味しい。
胡麻担々麵風のゴマタンスープで茹で、すくったお豆腐とにらとキムチ、ゆで卵を添えて食べよう。
ほうれん草はバター炒めにして・・・春菊は、どう食べようかと、食べ方を考えながらぷらぷらと帰る。
途中、橋を渡る。水面は静かに揺れて、水鳥が浮いている。
「水温(ぬる)む」という言葉が頭をよぎる。
家に帰って調べてみた。
水ぬるむ頃や女のわたし守 蕪村
人影の映り去りたる水温む 虚子
にらと豆腐とキムチと卵を入れたゴマタンZENBヌードルは、美味しかったけれど、ちょっと多すぎた。
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